アバウト・レイ 16歳の決断 : 特集
公開延期から2年、やっと見られる《エル・ファニング自身のお気に入り作》
男になりたいレイ×恋多きシングルマザー×レズビアンの祖母──愛おしい家族
「リトル・ミス・サンシャイン」チームが描く、笑いあり涙ありの希望の物語
16歳のトランスジェンダーをエル・ファニングが熱演し、ナオミ・ワッツ、スーザン・サランドンら豪華キャストが顔をそろえた「アバウト・レイ 16歳の決断」が、2月3日より全国公開される。突然の公開延期から2年──アカデミー賞2部門受賞作「リトル・ミス・サンシャイン」の製作陣が再び描く、ちょっと変わった家族の葛藤ときずなが、あたたかな感動を呼び起こすヒューマン・ドラマだ。
人気絶頂のファニングが「どの役よりも誇りに思っている」と公言する理由とは?
凸凹だけど、前向きで、あったかい──本作は“映画ファン待望”がいっぱい
「映画ファン待望」。そう表現するに相応しい、可笑しいのに心優しい希望の物語が、突然の公開延期の報から2年を経て再び私たちの前に帰ってきた。身も心も男として生きたいと願う16歳の主人公レイ(エル・ファニング)と、レイを愛し、理解しようと奔走するシングルマザーの母親(ナオミ・ワッツ)、レズビアンをカミングアウトする祖母(スーザン・サランドン)。不器用だけど愛おしい家族が織り成す物語が、見る者に、新しい一歩を踏み出すためのあたたかな勇気を与えてくれる。
当初は2016年1月に公開が予定されていた本作。本国アメリカで突然公開が延期されることになり、それに伴って日本公開も延期される事態に……。注目度は高まっていただけに、「このままずっと見られないのではないか」と日本の映画ファンの落胆も大きかった作品。いつか公開してほしいという熱い声も鎮まることはなかった。そんな作品が、ついに2年を経て、満を持して公開決定! 文字通り「待望の作品」だ。
「ネオン・デーモン」「パーティで女の子に話しかけるには」など、17年は立て続けに出演作が公開されソフィア・コッポラの新作も控える若手実力派エル・ファニング。ファッション・リーダーとしてもカリスマ的な注目度を集める彼女が、ベリーショートで肉体もビルドアップしてトランスジェンダーの男性を熱演。「これまで演じたどの役よりも誇りに思っているし、レイという男の子が大好き」という渾身の役だけに、絶対に見逃せない。
映画ファンなら、「リトル・ミス・サンシャイン」(アカデミー賞2部門受賞)、「サンシャイン・クリーニング」のプロデューサー・コンビ、マーク・タートルトーブ&ピーター・サラフが製作を手掛けていることにも注目したい。2人の名前を確認できるだけで、ユーモアとエモーショナルな要素が融合した感動作が、またもや生み出されているという安心感が漂ってくる。また、本作ではキャストのナオミ・ワッツも製作総指揮に名を連ねる。
ユニークだって、不器用だって、傷つけ合ってもいいじゃない──家族だから
《“超個性的”な3世代家族》が“人生の道しるべ”を教えてくれる
「リトル・ミス・サンシャイン」の黄色いバスに乗った落ちこぼれ家族、「サンシャイン・クリーニング」の事件現場を清掃する崖っぷち家族と同じように、本作もどこかちょっと変わった、でもあたたかな家族の姿が描かれる。それぞれにちょっとやり過ぎで、観客が心配してしまうほどの一生懸命さ。エキセントリックな言動にクスッとさせられながらも、見ているうちに彼らのきずなにグイグイと引き込まれ、最後には応援したい気持ちがあふれてくる。「人生の道しるべ」を教えてくれる、愛すべきこの家族から目が離せない。
女性の身体で生まれてしまった自分は、本当の自分じゃない。現在の自分に違和感を覚え、強い気持ちで「本当の自分」=男として生きることを選ぶ16歳のレイ。肉体を変えるホルモン治療を始めるには両親の同意が必要だが、母は理解を示しながらも戸惑い、離婚した父親からも強い拒絶を受ける。さあ……どうする?
若いころから恋愛に奔放だった恋多きシングルマザーが、レイの母、マギー。「自慢の子よ」「自慢のママだよ」が合い言葉で、レイの良き理解者だったが、レイの決意に心が今ひとつ追いつけない。さらには元夫にもう一度会わないといけないなんて……。ストレスがたまりまくった彼女は、ついアイスの暴食と、男に走ってしまう!?
娘を育てた後にレズビアンであることを自覚してカミングアウト。今では同性のパートナーと暮らし、自由気ままに人生をおう歌している。レイを応援はしているものの、その気持ちを充分に理解できず、「女性が好きなら、レズビアンと公言すればよくない?」と少々的外れな発言も……。
キーワードは“エル・ファニング”“ちょっと変わった&あったかい家族”──
映画ライターもお気に入り「この作品が大好きなら絶対オススメ!」
見る者の誰をもあたたかな気持ちにさせる本作。この映画ライターふたりも例外ではなかった。出演作選びの確かさと魅力あふれる演技を放った“エル・ファニング”と、“ちょっと変わったあったか家族モノ”という2つのポイントに注目し、それぞれが「絶対にオススメ!」の思いを伝える。