劇場公開日 2018年2月3日

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「トランスジェンダーの部分が置いていかれている」アバウト・レイ 16歳の決断 GreenTさんの映画レビュー(感想・評価)

トランスジェンダーの部分が置いていかれている

2018年3月10日
PCから投稿

トランスジェンダーの人たちの心情が「リアル」に感じられることがないため、お母さんのマギーが大変だなというベタな感想しか出てこず、ゆえに退屈な映画だなと感じた。メロドラマちっくで表層的な「体が男ではないレイの苦悩」「体も男になれると思った時のレイの喜び」みたいな描写ばかりなので、「今の自分に満足していないから、『男になれば幸せになれる』って思っているだけではないのか」という風にしか見えなかった。

そもそも、なんでこの物語に「トランスジェンダー」のような難しい問題をぶっ込んできたのかわからない。このままだとこの映画は、「自分のアイデンティティーを確立するためにもがく、思春期のティーンエージャーの苛立ちと焦燥、そしてそれに翻弄されながら、大人達も家族の愛と絆とはなんぞや、と考えさせる映画」と言う平凡な「家族愛」もので、「トランスジェンダー」の部分は置いていかれている感じがする。

と思っていたら、この映画はワインスタインがプロデューサーで、トランスジェンダーの部分を薄め、「家族愛」ものにしろと言われて大幅な修正が行われたということを知った。原題は『3Generations』(三世代)となっているが、元々は邦題でも採用された『About Ray』であったらしい。想像するに、製作者側は私が観たかったような、トランスジェンダーの人たちの心情に突っ込んだ作りにしたかったのだが、それでは資本が得られなかったようで、残念な作品になってしまった。

GreenT