「証券用語を知らないと面白くないかも」マネー・ショート 華麗なる大逆転 悶さんの映画レビュー(感想・評価)
証券用語を知らないと面白くないかも
【鑑賞のきっかけ】
株式投資を行っている人間にとって、「株の大暴落」というのは、大きな関心事です。
本作品は、2008年に起きた大暴落「リーマン・ショック」を描いており、しかも実話に基づくとあれば、観ないわけにはいきません。
【率直な感想】
鑑賞が始まってすぐに、意外なことに気づかされます。
「空売り」という字幕のふりがなに「ショート」と書いてあるのです。
邦題の「マネー・ショート」から、連想するもの。
ショートというと、日本では、「電気がショートした」のように使っているので、「株が暴落した」→「投資の資金がショート、つまり、大損失を食らった」というように、考えてしまうのではないでしょうか。
でも、「ショート」の意味は違いました。
原題は、「The Big Short」なので、直訳すれば、「大規模な空売り」という意味になります。
しかし、ここで、本作品は、観客を選ぶ作品だな、と感じたのも、正直なところです。
「空売り」といっても、株式などの投資に関心を持っている方でないと、何のことか、よく分からないのではないか、と思います。
「リーマン・ショック」を引き起こした要因のひとつが、「住宅ローンを証券化したもの」。つまり、「債券」です。
この「債券」についても、どのような仕組みで、儲けることができるのか知らないと、物語を楽しむのは困難な気がしました。
しかも、「リーマン・ショック」というのは、住宅ローンを債券化していた銀行が破綻して、資金を失った企業が続出し、株価が大幅に下落した、というような単純なものではないのです。
その裏には、紙くず同然になった債券を、かき集めて、新しい「債券」を発行するという手法がありました。
また、本作品の主人公は、多くの人々が財産を失った中、巨額の利益を上げます。
そこには、「デリバティブ取引」という金融派生商品が使われているのですが、この仕組みを理解するのは、ちょっと難しいかもしれません。
【全体評価】
冒頭にも書きましたが、本作品は証券用語を理解しているかどうかで、楽しめるかどうかが、分かれる作品と感じました。
個人的には、とても楽しめる作品でした。