ヴィクトリア(2015)のレビュー・感想・評価
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140分間の感情のダイナミズムを生々しく描写
はじめ、作り手たちがキャストに手渡したのは、たった12ページの台本だったという。そこには大まかな筋書きと動線は書かれているものの、具体的なセリフはほとんどなし。あとは140分間ノンストップの一発撮り。つまり、ほとんど即興に近い形でセリフが発せられ、克明に映しとられる俳優たちの表情、互いに惹かれ合う想い、そこからの急転直下、おびただしい汗や緊張を放出させながらの逃避行に至るまで、まさに全身全霊の演技が活写されていったことになる。
とはいえ、長回しは目的ではなく手段に過ぎない。それを活用し、140分間、超スピードで流動していく感情のダイナミズムを最もリアルかつ生々しいものとして抽出し得たからこそ、世界はこの作品に沸いたのだ。この途方もない実験精神、役者陣の反射神経、スタッフワークの連携。一つでもピースが欠ければすぐに瓦解し、野心だけがやみくもに大きい駄作に成り下がっていたことは明白。成立したのが奇跡、そう表現できる数少ない作品である。
長回しだから、ってことじゃない
カットがない。見た限り暗転もない。140分ほぼ一発撮りの長回し。
映画で長回しといえばカット間が長いことを言う。タルコフスキーやアンゲロプロス。たいてい固定か、ゆっくり移動するレールカメラで、台詞も少ない、または無い。
ところがこの映画のばあい、そもそもカットがなく、カメラは手持ち。人物は喋りっぱなし。
一発撮りといえば、三谷幸喜の大空港2013がそうだったが、カットがなくても、カメラが捉えている人物が変わる。
ところがこの映画のばあい、カメラはずっと主役のヴィクトリア、ゾンヌ、ボクサー、ブリンカーを捉えっぱなし。かれらはフレームを外れて息つくことができない。
しかし、この映画が優れているのは、その手法によるのではない。どのみち、見ている最中にはそこに意識は及ばない。見終わって、そういやすげえ長回しだったなと気付く。
実時間と同じ進行だから、ヴィクトリアの置かれている状況を説明できない。説明的な描写もない。にもかかわらず、状況がわかる。
故国スペインを離れてベルリンにいるヴィクトリア。
ピアニストになる夢に破れ、自分のいる世界が嫌になり、傷心をかかえて逃げてきた。とはいえ、異国でひとりぼっち、数ヶ月が経ち、友達がほしい、人が恋しくてならない。
それらのことが、バーテンに話しかけようとする、初対面の男たちについていく、ゾンヌに思い入れる、酒を泥棒して屋上で絶叫する、ピアノを弾いて泣く、わけも判らぬまま犯罪の片棒をかつぐ、強盗がうまくいって束の間の高揚に沸く、などの行動と言動から、わかる。
ヴィクトリアの内面が、自棄と悲しみでいっぱいなのが、わかる。
警官隊にブリンカーとボクサーが撃たれ、ゾンヌもホテルのベットで息絶える。ヴィクトリアは号泣するが、ひとしきり泣いて、我に返ってみると、ほんの数時間前に会った男の死体と、5万ユーロ。お金を手にして、すっかり明けた街を歩き去る。
行き掛けの駄賃とも言えるがクライム映画ではない。そもそも強盗したお金を得とみるのは不合理だ。といって不合理系のピカレスクでもない。色恋もなく、なにも成就せず、解決もしないが、ヴィクトリアの悲しみに寄り添い、濃密な時間を過ごした。マイクリーのNakedに印象が似ている。
赤子を連れ出すシークエンスだけは嫌だったなあ。
人生をみ失ったとき何をする?
個人的にだがこの映画の圧巻はビクトリア(俳優ライアコスタ)の生き方だ。これに、絞って書く。
彼女はスペインから最近ベルリンに来てカフェで働いている。友達もいなく一人で踊りに行って、通りで声をかけられた四人のグループと行動を共にする。
四人の中の一人ボクサー(フランツ ロゴスキー)は借りを返さなければならなく、銀行泥棒を押し付けられる。
ビクトリアはその片棒をかつぐわけだが、彼女は積極的に『できる』と答えている。ゾンネ(フレデリック ラウ)が『大丈夫か』と聞くけど何度も『できる』と力強く言っている。ビクトリアと四人のグループは拙い英語で基本的な会話をしているが、ビクトリアの『I can do it !』はパワーがある。
ビクトリアは長年のピアノ訓練で培われた根性がある。クラシック音楽の世界で才能がなければ蹴落とされる。それも音楽院(コンサベトリー)まで行って、コンサートピアニストとして認められるかどうかまでビアノだけに邁進したが才能がない/無理だと言われれば、今までの自分の人生はなんだったのかと感じると思う。毎日7−8時間もピアノだけを練習していた人生だったとゾンネに話した。
この一人での努力、一本道、何も他の世界を知らないビクトリア。この反動からの行動(はけ口探しでもいい)が四人組との行動で銀行強盗したが、私に取っては、彼女はこれからの人生を探検していたように思える。何も知らないけど、自分を試すため冒険をしているように思えた。
ビクトリアにとって、金は大事じゃなく、ピアノの才能がないと言われ、新しい人生をスタートさせるための糸口を見つけているとおもう。コンサベトリーの世界では皆が敵だったと。コンサートピアニストの地位を確立するため皆がお互いに争っていたと。でも、この銀行強盗というタスクは仲間意識の強いものだ。この経験を彼女はしたことがないから、彼女に取って魅力的だったと思う。ホテルで好きになったゾンネが死んで、大泣きをした後、目を見開いて立ち上がる強さ。この人は将来なんでもできると私は思った。
最後のシーンからはビクトリアがどう決断するかわからないが、彼女が街を堂々と歩いていくシーンは盗んだお金は大事じゃないと思っていることがよくわかった。
犯罪の片棒を担いだからって、人生は終わりじゃなくて、新しいヴィクトリアの人生がスタートするのだ。
バカなことをまじめにやる姿勢は評価したいが
長回し教信者としては、狂喜乱舞すべきなのかもしれないが、序盤のだらだら進行が苦痛でここまで長くする必要があったと思えなかった。
カフェのシーンあたりからは惹きつけられただけに色々もったいないと感じた。
60点
リアルな演技と感心するアドリブ、撮影方法。
「実際映画のようにはうまくはいかない」
とか思っててリアルな映画を求めてきたけど、
はじめてわかった。
「俺やったらこうするのに、ムカつくなぁ」
と言う感情にもなると言うことを 。
自分は実際リアルにこうゆう事になったら
こうなるんかもなと思った。
最後の意味深感はなんやったんやろw
2時間14分ノーカットの意欲作
AM4:30~AM6:45の真夜中から夜明けにかけてクラブ→アパートの屋上→カフェ→地下駐→銀行→アパート→ホテル→路上とベルリンの街を駆け回る。
ドイツのベルリンに来て3ヶ月のカフェ店員のヴィクトリアに接触するスキンヘッドのボクサー、ヒゲ面のブリンカー、童顔で誕生日のフース、おしゃべりなリーダー格ゾンネのからみたくない地元四人組。
銀行強盗をさせられるはめになって元凶であるボクサーに注がれる「どうすんだよこれ‥」の視線の空気感がリアル。
強い吊り橋効果によって解放されたヴィクトリアとゾンネは激しいキスをし、ボクサーとブリンカーは全裸で躍り狂う。
事件に巻き込まれる系かと思いきや、軽い気持ちで加担した犯罪がどんどん悪い方向に転がり、ついには加害者としての一線を越える胸糞展開になったのは意外な驚き。
どんどんクズ野郎になっていくのにBGMは叙情的で青春の一ページ感を演出してるので余計に腹が立ってくる。
ついには一般人夫婦を脅し赤ん坊をさらっておきながらもなお「私たちは悪人じゃないの」と言うヴィクトリアの加害者意識のなさにゾッとした。
ラストはすっかり明るくなったベルリンの道路に、ゾンネを失いひとりきりになったヴィクトリアが金だけ持ってホテルから出てきてエンド(あぁ、最悪の朝だ)
うーん 140分フル長回しは凄いと思うし、面白いのだけどストーリー...
うーん
140分フル長回しは凄いと思うし、面白いのだけどストーリーがなぁ…
あまりにも前半は退屈すぎるし〔なんなら寝かけた〕電話が来たあたりから面白くなるかと思いきやそうでもないし、あと登場人物があまりにもバカにしか見えない〔ぶっ壊れているのかな?〕時間が無いとはいえずさんかつ逃亡せずにクラブに行くとかバカにもほどがある。
そして、ヴィクトリア。なぜあんなに基本的に落ち着いているのか?もう共感もなにも出来ない。
他の人のレビューで少しでも発見があれば幸いだ
見たけど…そんなに入り込める?主人公の孤独感とか〔独り暮らしとかしたことあったら分かるのか?〕
ワンカットの臨場感
こんな夜は嫌だ。
すでに夜というか明け方なんだけど、
見ているうちに実際に外が明るくなって
夜が明けてるんじゃないかと錯覚しそう。
ワンカット長回しで、
映画に引き込まれるのはなかなかすごい。
出会わなければ良かったのに
誘いに乗らず帰っていれば良かったのに
さらに誘いに乗らなければ良かったのに。
陽気な若者の夜遊びから
取り返しのつかない展開への変化が
時間と共に描かれるので臨場感が良い。
ヴィクトリアの気持ちの切り替えが良い。
並みの集中力では出来ないと思う こんなブッとんだ映画は初めて 俳優...
並みの集中力では出来ないと思う
こんなブッとんだ映画は初めて
俳優たちがゾーンに入っていた感じがする
内容はそんなおもろしろくなかった
PG12なのはクラブで全裸男がはしゃぐせい?
コカイン使用シーン?
40分過ぎまではかなり退屈。
もっとインディーズな作りかと思ったら、警察隊やテレビニュースまで出てきた。
早朝とは言えベルリン人通り無さすぎでは。公団?が都心にあるっていうのも?
地図で彼らの動きをチェックしたい
シュナップスとシュウェップスを空目した。ウォッカならオーケーじゃないのか
ベルリン
なんかランローラランを思い出す。ベルリンのストリートものって話なんだけど、あんまりアングラ感はない。クラブはベルグハインみたいなとこじゃなくて、地下のライブハウスみたいで良い感じ。相変わらずジャージとかダサくて良い感じ。ドイツらしい。ドイツは、服以外は全部優れてるのに、服と女優の顔はいつも微妙。ニルスのピアノはいらなくて、もっとテクノ聴かせて欲しかった。入場料が6ユーロって素晴らしい。とにかく長い。夜の屋上のシーンが良い感じ。
ただのチンピラが警官に発砲したり、逃走中潜伏するホテルが高級ホテル...
ただのチンピラが警官に発砲したり、逃走中潜伏するホテルが高級ホテルだったり…笑
やることなす事頭悪すぎて全く感情移入できない。長回し?だから何?って感じ
確かに映像はすごかったです ワンカットで撮っているため、俳優さん女...
確かに映像はすごかったです
ワンカットで撮っているため、俳優さん女優さんの演技力、暗記力、アドリブ力はとてつもないものであると感じました
ただ固定カメラでないため不慣れな人は少し画面酔いするかも?臨場感はすごくあって6人目の仲間になっている気がします
100分でまとめれていれば★3.5
傑作
見終わった直後はその凄さに打ちひしがれました。何なんだコレは、と。クライム・サスペンスというよりは極上の青春映画。音楽もやばいなーと思ってたらエンドロールにニルス・フラーム。どうりでお見事。
ヴィクトリアと飲みたい...
これはヤバい
ヤバすぎる。ほんと見て良かった。
ドキドキが止まらない。
ワンカットに慣れてくる頃に、ジワジワくる焦燥感。
切れ目がないから気持ちの逃げ場所がなく、追い込まれていく感じ。カロリー消費半端ない。
ワンカットの理由
普段の生活って、
起床してから眠るまで、
意識はワンカットだ。
(途中で昼寝したり事故とかにあわない限り)
この映画を観て、
逆にそんなことに気づかされた。
普通の編集が施される映画は、
不要な部分や、意味なく間延びするところをカットし、テンポ感や時間の進行などを演出する。
しかし、この映画ではあえてそれが全く行われていない。
(眠くなる人もいるだろうねそりゃ)
だから観客は、まるで映画のなかで生きているような錯覚に陥る。
この映画のなかには確かに間延びしている部分や、退屈を感じる、特に意味のない「空白の時間」が随所にある。
だから効果的なのだ。
私たちの生活にも、たくさんの「空白の時間」があるからだ。
生活の意識と同じことが映画で起こっているから、強いリアリティを感じる。
観客は映画を観始めたとたん、
強制的に映画の中で生きることになる。
空白の時間はあるにはあるけれど、
めちゃくちゃ濃密で劇的な120分。
映画が暗転した瞬間、
ものすごいリアルな悪夢から目覚めたような感覚に陥った。
4Dや3Dとか派手な仕掛けがなくたって、
観客は映画の世界を生きることができる。
ワンカット長い
全編ワンカットってとこは凄いんだろうなとは思う。
でも疲れた。視覚からか?具合悪くなった。途中睡魔に襲われた。
ワンカットって事で、これは必要ないだろうというカットがあるよう感じられて、とにかく長い!早くこのシーン終わってくれ!と願いながらの観賞。
まるで拷問(言い過ぎw)
ワンカットで大変だろうに、わざとらしくなく自然なところは褒めとく(上から目線でごめんなさい…)
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