ケンとカズのレビュー・感想・評価
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二つの魂が熱くドリフトする様に圧倒される
ふたつの魂の軌跡が渾身の筆圧で綴られた裏社会の友情ドラマだ。もともと短編作品からスタートしており、そこで育んだ物語の核となる魅力はそのまま受け継ぎつつも、いざ完成した長編版はまた新たに生まれ変わったような独自の人間描写、スケール感、語り口、表現性を獲得。作り手がいかに本作を大切にグレードアップさせたかその心意気や覚悟のほどが感じられる。性格や価値観が根本的に異なり、口を開くと言い争いばかりのケンとカズ。しかし車の修理工場を隠れ蓑にドラッグビジネスを拡大させる中で、各々の抱える人生の悩みが露呈し、徐々に人間ドラマとして側面が迫力を増すことに。ここで彼らの真の友情が試される過程の描き方が初長編とは思えいないほど熱く、見応えがある。また、車の運転席と助手席といった極めて狭い空間を使ってのアクションやカメラワークにも唸らされるばかり。この監督がこれから一体どのように化けていくのかが非常に楽しみだ。
【負の連鎖と腐れ縁】
逃げ出せない繋がり
ケンとカズの魅力
自動車工場で働く裏でシャブの売人をしているチンピラのケンとカズ。事情を共に抱えたまま将来を不安視していた。
シャブ抗争も絶えず金も必要になって行き、敵対する相手と手を組もうとするカズだが、ケンの方はやがてシャブの世界から足を洗おうと考え始める。
チンピラの枠でシャブの売人の世界観を堪能させてくれる映画としては面白い。家族を中途半端に絡ませるのもまたいい。
ただ、面白く魅力感じるのはケンとカズ、その後輩ぐらいで敵対する売人や仕切っているヤクザに魅力を感じない。
ヤクザNO.2のカッコ悪さ演技素人さには笑う。
また、殺傷の描写もブレなどでごまかし。
乗れる車が全てレンタカーと言うのはカッコ悪い。大手では無い制作会社の作品としては良作の部類に入るのだが、製作裏側を観てしまうとカッコ良さも失われそうな映画だった。
市川ノワール
面白いんだけど何かが足りない
何が足りないのか分からないけど...っていう感想はなかなか抱かないのだけども。
シャブ売りは誰が先導して始めたのか?とかケンとカズの友情は昔はどうだったのか?とか、その辺を入れ込んでいく事でよりつまらなくなる可能性もあったと思うのだけど、あまりに無すぎて、世間で言う友情というものをクライマックスの尺度にするしかないという所が食い足りないような気もした。
首上のアップが多くて海外ドラマみたいに見えるってのもあるのかな。まぁ、リアルアンダーグラウンドの存在感を顔とか目で表現するっていう狙いからすると120点だと思うんだけど。
2人のキャラの描き分けを分かりやすく、子供ができた事=父親と痴呆の母親との腐れ縁=ガキと2分した事は良いと思うのだけど、ちょっと中身が類型的だったかも知れない。嫁はもうちょい綺麗なほうが良い。
覚醒剤が具体的にどんな風に作られてどんな人たちがそこに関わってという部分はとてもリアルだし、底辺で翻弄される人たちが追い詰められていく活劇としてとても面白かった。
毎熊克哉スゲエ
シャブはやめましょう
あともう少しで、語り継がれる名作になる。
映画.COMの予告で出会い。そこから数年見る機会に巡り合わなかった。(とうに劇場公開は終わっていて、ネットフリックスなどにも公開なかった為)どうしても本作を見たくなりブルーレイを購入。
予告編から想像を膨らませ、期待してみてみたが・・・。
物語が一方方向からしか映していない事に少し惜しいなという
印象。正確には違法薬物、暴力、反社会とのつながり、恋人の妊娠、母親の痴ほう症と多面的であるようにも見えるが。
例えばそこに主演俳優の日常風景が見えるシーンを追加してみてはどうだろう。
お風呂でも、キャバクラでも食事のシーンでも良い。
更にいえば路上や職場以外での後輩と絡むシーンでも良い。
さびしい風景でも、にぎやかな場所でも景色でも良い。
この作品は本当に傑作なので数年間も編集にかける時間があれば
あとから風景を差し込むなんて簡単なことではないか。
その簡単な事で物語に深みが増すのであればぜひやっていただきたい。と文句ばかりだがこの作品が僕は本当に好きだ。
生きるとは、少しでも良く生きること
小路
クズとカス
生々しい
どうしようもない男達が、すぐそこで生き様を晒している、 生々しい感じでした。
二人でいると最強な気分になれる、そういう相手に出会えた幸せ、不幸せ。
主演のカトウシンスケ、毎熊克也をはじめ、個性の立った「いい顔」揃いでこういう人達がいるとしか思えない、見事だと思いました。
とっぽい後輩、テルの存在感も良かったです。全体にくすんだトーンで女性達も淡い印象の中、活気と華を添えて藤原季節が好演でした。
地回りヤクザチームも印象深く、特に組長側近の彼は妙にチャーミング。
音楽は控えめで作品の息づかいをかき消さず良かったです。音にとても気を使っていると思いました。
上演後、毎熊克也と小路鉱史監督の舞台挨拶がありました。照明には特に気を使ったそうです、なるほど。
学生時代からの映画仲間、互いにどんどん進化して楽しませてください。
2016.9.10. 福山駅前シネマモード
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