「鑑賞後の帰り道…」ヒトラーの忘れもの yookieさんの映画レビュー(感想・評価)
鑑賞後の帰り道…
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ずっと足がすくんでいた。高所に居るわけでもなく地に足が着いているというのに…。アスファルトの下に地雷が埋まっているのではないかと、一歩を踏み出すのが怖くなってしまっていて。
第二次世界大戦直後、デンマークの海岸沿いにナチス・ドイツが埋めた2万個以上の地雷撤去を強制された敗残ドイツ軍の少年兵たちと、彼らを指揮するデンマーク人軍曹とを、史実に基づき描いたこの映画。
ここまで苦しくて眼を背けたくなる映画は初めてかもしれない。いつ地雷が爆発してしまうのか…という緊迫感が延々と続く、どんなホラー映画よりも恐ろしくてトラウマ級だった。。
デンマークの海岸は純白の砂が天国のように美しくて…しかしそこで行われている地雷撤去作業はまさに地獄のように残酷であり…こんなことが現実に行われていただなんて信じ難かった。戦場の兵隊や戦時中の一般市民、または戦後立ち上がって復興していく人々を描いた映画は多いけど、終戦直後の最も悲惨な状況を描いたこの映画は、最大級の反戦メッセージだと思う。
戦争の後始末の道具としか見ていなかった憎しみの対象であった少年兵が、1人また1人と失われていき、いつしか祖国に帰してあげたいと思うようになる軍曹。だけども、やり場の無い”戦争”への怒りを結局は目の前の少年達に向けるしか出来ない苦悩も抱え…。軍曹役の彼の表情が移ろう演技は凄かった。
最後、僅かに残った少年達が解放された時、観ているこちらもやっと少しだけ緊張から解放された感じがして、自然と涙が溢れた。
2017年の始まりに、凄い映画と出会ってしまったかもしれない。
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