「アメリカは正義か…?」レディ・ソルジャー(2014) 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカは正義か…?
グアンタナモ湾収容キャンプ。
2002年に設立され、9・11などテロリストの疑いある者を収容している米軍施設。
その実態は…。
一人の若い女性兵を通して描く。
主な仕事内容は、“拘留者”の監視。ここでは、“捕虜”ではなく“拘留者”と呼ぶ。
一日何度何度何度も、巡回。
食事や本の提供。
中には、うるさくしつこい者も居る。
問題起こした者が居れば、数人がかりで取り抑え。
時には○○爆弾を投げつけられる。
地味だが、その実はハード。
疲労に蝕まれていく…。
さらに追い討ちをかけるのが、“軍”そのもの。
命令は絶対だが、そこに私情が挟むと…。
ある時直属の上官と“そういうムード”になるが、拒む。
それ以降、規定違反のシャワーの監視や突然の夜勤変更へ。あらぬ疑惑を問い詰められる。
疲労に加え、精神的にも追い込まれ、身心共に疲弊していく…。
そんな時、一人の拘留者と交流を持つ…。
無論、個人的な接触は禁止。奴らは、アメリカの敵。
しかもその拘留者“471番”、特にうるさくしつこい。
やたらと話し掛けてきたり、個人的な事を聞いてきたり、ハリポタの最終巻が読みたい…などなど。
挑発的でもある。
最初は面倒臭い奴だったが…、巡回中密かに話す内に、何故か気掛かりな存在になっていく。
それは同時に、本当にテロリストなのかという疑問へ…。
ここに収容されてる者は皆、テロに関与ある者ではなく、疑いある者。
という事はつまり、無実で収容されてる者も居るかもしれない。
本当にテロリストの疑いあるか、そうでないかなんて分からない。劇中でも明白には描かれない。
疑わしきは罰せず。
が、疑わしい者は皆拘留し、自由も尊厳も奪い、時には酷な仕打ちも…。
アメリカは、正義か…?
クリステン・スチュワートが熱演。
またしてもB級アクションを彷彿させる罪深い邦題だが、シリアスで考えさせられる人間ドラマ。