ボーダーライン(2015)のレビュー・感想・評価
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女子子供も容赦しないベニチオ・デル・トロによる壮絶な復讐劇に、カルチャーショックを覚えた
ドゥニ・ビルヌーブ 監督テイラー・シェリダン脚本による2015年製作(121分/R15+)のアメリカ映画。
原題:Sicario、配給:KADOKAWA、劇場公開日:2016年4月9日。
ビルヌーブ 監督作品ということで、意外性への期待値が大きいこともあってその点では少々物足りなさも感じた。一方かなり個性的な脚本であり、色々考えさせられる、とても興味深い映画であった。また、ストーリーが込み入っていて理解が自分には難しく、2回見て初めて映像の意味が分かったところも幾つかあった。
FBI捜査官を演じたエミリー・ブラントが主役ということなのだが、視聴者目線で正義のヒト視点もあるよという言わばアリバイ作りの様なもので、真の主役はベニチオ・デル・トロ演ずるSicario(殺し屋)であった。
映画の前半は謎だらけだった彼は、妻と愛しい娘をメキシコの新興麻薬カルテルに殺された元検事で、復讐することを目的で生きている1匹狼のコロンビア人。何処の仕事も引き受けるらしいが、今回はコロンビアの老舗麻薬カルテルに雇われていることが後半になって判明。
その彼の復讐を、当初国防省コンサルとか言っていたCIAのジョシュ・ブローリンたちが、混乱よりも秩序を望む大統領の指示下、超法規の立場で全面的にアシストする。つまり、米国国家組織が隣国で、老舗不法組織を使うことで新興不法組織を壊滅させるという非倫理的な構図。
主役たるベニチオ・デル・トロは、良き父親であることが丁寧に描れていたメキシコ人警官を、いともあっさり予想外に殺害。更に、復讐相手のメキシコ人カルテル親分の家に単身乗り込み、無実であるはずの妻及び2人の息子を、本人射殺の前に、息子だけは助けてと頼む彼の目の前で射殺。コレには、かなり衝撃を受けた。今時、主人公が問答無用の家族全員の皆殺しとはと。新しいかたちのハードボイルド像なのか?
一連の違法行為に納得出来なかったエミリー・ブラントだが、ジョシュからは腕力でねじ伏せられ、ベニチオには防弾チョッキの上からとはいえ狙撃され更に銃で脅迫もされて、抵抗できなくなってしまった。米国人的には、強い力にはもっと強い力で対抗するしか無いということなのだろうか。ただ自分の日本人的感性ではそうではないだろう、何か別のやり方がきっと有るはずという気持ちはかなり残った。テロ事件が契機とは言え、多くの民間人をイスラエルが毎日殺害しているという報道の中、特にそう思いたい自分がいる。
監督ドゥニ・ビルヌーブ、製作ベイジル・イバニク 、エドワード・L・マクドネル 、モリー・スミス、 サッド・ラッキンビル、 トレント・ラッキンビル、製作総指揮ジョン・H・スターク、 エリカ・リー エレン・H・シュワルツ、脚本テイラー・シェリダン、撮影ロジャー・ディーキンス、美術パトリス・バーメット、衣装レネー・エイプリル、編集ジョー・ウォーカー、音楽ヨハン・ヨハンソン、音楽監修ジョナサン・ワトキンス。
出演
エミリー・ブラントケイト・メイサー、ベニチオ・デル・トロアレハンドロ、ジョシュ・ブローリンマット・グレイバー、ビクター・ガーバーデイブ・ジェニングス、
ジョン・バーンサルテッドジョン・バーンサル
ダニエル・カルーヤレジー・ウェインダニエル・カルーヤ
ジェフリー・ドノバンスティーブ・フォーシングジェフリー・ドノバン
主役陣達皆の活躍ぶりが見どころ
正義と悪の狭間に
現実を見つめて観るか❓‼️視点で観るか‼️❓
現実の、メキシコ麻薬カルテル対策を米国はテロ対策と同等と位置付けているため国防総省陸軍デルタフォースが中心となり平和時の法を逸脱して行動するわけです。
でも、この映画のヒロインはそのことを知らされていないていで進行していくため、わかりにくいのです、現実に作戦を知らない構成員がいれば致命的ですが、ミステリー、サスペンス的にしようとする製作意図です、失敗してますが。
メキシコの腐敗度にはリアリティがありますが、作戦のリアリティはありません、もう少し計画的です、成功不成功を別にして。
復讐も中心に据えていますが、軍事作戦ですから、命令系統を遮断すると滅されることになります。
そんな現実との乖離を把握していれば、疑問なくそこそこ楽しめるでしょう。
まあ、わかりにくい映画ではあります。
映像と音響でアカデミー賞ノミネートですから、映像とヒロインの演技を楽しみましょう。
後味の悪いラスト
冒頭の衝撃シーンから、緊迫感、緊張感の連続で、最後まで画面に釘付けだったが、後味の悪いエンディングだった。結局、真っ当な人間だったのは主人公のエミリー・ブラントと相棒の黒人だけだったということか?
主人公が法を無視しても悪い奴らをやっつけるというヒーローものの映画は結構あるが、その類だったら、ベニチオ・ベル・トロが主人公だ。一匹狼で敵陣に乗り込むのは、昔で言えばマカロニウェスタンのヒーロー、最近の映画ならイコライザーのデンゼル・ワシントンかな。ところが、この映画ではエミリー・ブラントが主人公なので、結局彼は最後に偽りの報告書にサインを彼女に迫る、悪役になってしまった。つまり、エミリー・ブラントの位置づけがイマイチ曖昧のように感じる。そのせいか、次回作では彼が主人公になってるようだ、まだ未見だが。
喋らないデルトロの存在感
原題は殺し屋
犯罪の巣窟へ
此処は狼が棲む土地
強い信念を持ってFBI捜査官として挑むケイトをエミリー・ブラントが演じる。悔しさを滲ませ嗚咽する姿が切なく美しい。
作戦メンバーの一員となるアレハンドロをベニチオ・デル・トロが渋い演技で魅せる。深い悲しみを帯びた瞳が印象に残る。
通路を進む赤外線映像がリアルで怖い。
ーCIAが国内活動するにはFBIの同行が必要だからだ
BS-TBSを録画にて鑑賞 (吹替版)
根深い社会問題に解はあるのか・・
麻薬ビジネスを根絶できないとしたら、勝手やり放題のメキシコカルテルよりまだ管理可能なコロンビア組織に首を挿げ替える方が得策と考えたCIA、ただしCIAが国内で合法的に動くにはFBIとの共同作戦しか手が無い、そこで与し易しと選んだのがFBIの女性捜査官ケイト(エミリー・ブラント)でした。ところがCIAのマット(ジョシュ・ブローリン)の強引な作戦を知るにつけケイトは思ったよりストイックで言いなりにはなりません。
CIAも自ら暗殺に手を染める訳にはいかなかったのか実行犯に選んだのが麻薬カルテルに家族を殺された元検察官アレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)、原題のシカリオは暗殺者の意味らしい。
アレハンドロはケイトに、「ここは狼の住む地、君は狼にはなれない、法と秩序が欲しいなら小さな町に移るんだね」と言います。それでは何も解決しないことは自明です、狼より始末が悪いのが人間でしょう。極論すれば余計な雑味を入れず悪を征する痛快アクション映画の方が好みです。
毒を持って毒を制するメキシコ麻薬戦争の過激さだけでも十分映画になるのにわざわざ良識派市民のアリバイの如く葛藤する捜査官を加えたのは正統派社会派ドラマに仕立てようということか、どう思うかは観客に委ねようと曖昧な結末、確かに取り締まり強化だけでは根本問題は解決しないことは分かるが戦いはいつまで続くのだろうか・・。
映画は現実より奇なり
麻薬カルテルから家族を無惨に殺された、コロンビアの検事アレハンドロ。 復讐のために人間を捨て、泣く子も黙る修羅と化したー。
そこに、正義はあるのだろうか。
そこに、愛はあるんか、いや、あるのだろうか。
ベニチオ・デル・トロが、この際どい人物像を見事に演じている。 感情移入し辛いキャラクターだが、 脳裏に焼き付いて離れなくなるほどのインパクを放つ。 リアリティを持たせるのが難しそうなこの役に、よくもあれ程の説得力を与えられたものだ。 チャームポイントである?重く鋭い目つきのなせる業かー。
デル・トロと共に物語のリアリティを固めるのが、エミリー・ブラント演じるFBIの生え抜き捜査官。 状況の見えない場に放り込まれた捜査官の緊張と葛藤を、この俳優がまた見事に表現している。 この二人の仕事が、作品の完成度を高めていることは間違いない。
作品賞や撮影賞などの受賞で評価されているようだが、 個人的には、脚本がもっと評価されてしかるべきだと思う。 ちなみに、テイラー・シェリダンは、人間の心理描写が巧な脚本家で、「最後の追跡」という、大変面白い作品の執筆もしている。
メキシコや中南米の社会情勢を考えれば、この作品のような話が本当にあったとしても不思議ではない。 もちろん、映画と現実とは違うだろうが、この作品は、映画だからこそ表現できる「現実以上のリアリティと衝撃」をものにしている。
非常に見応えのあるサスペンスドラマである。
ボーダーラインとは
引き込まれる
ブレイキング・バッドやナルコスを見てからだと、メデジンとかフアレスとかエルパソとか聞き覚えのある地名ばっかりでなんか嬉しかった。
ナルコスと舞台はめっちゃ似てる。
メデジンカルテルのパブロの話もチラッと出てくる。メデジンが衰退していってフアレス?カリ?が台頭してきてる時代の話なのかな。
パブロの時はパブロ一強の時代だったから良かったけど、そんな事なくなって麻薬戦争が起きそうな、、?
主人公は女性かと思ったけど謎のメキシコ人が裏の主人公的な感じだった。
序盤からずっとエグい死体が何体か出てくる。
ジョーンバーンサルはやっぱり悪い役。
終盤、家族全員殺すのはびっくりした。
あそこで簡単にみんな殺されるのはリアリティがある。
最後銃を捨てたのは、エミリーブラントが銃を拾って構えるのを承知で生死を委ねたのだと思った。
本当にコロンビアやメキシコじゃなくて日本に生まれてよかったとつくづく思った。
サッカー少年たちが銃声が聞こえても反応が薄かったシーンはメッセージ性がある。
善と悪の境で
メキシコの麻薬カルテルを撲滅しようと、命をかけて奮闘する女性FBI捜査官を主人公にした、アクション・サスペンス。
その主人公のFBI捜査官を演じのが、エミリー・ブラント。『クワイエット・プレイス』や『オール・ユー・ニード・イズ・キル』等で、美しい中にも激しいアクションをこなし、強く逞しい女優としての地位を確立している。
本作でも、男性社会が根強く残るFBI組織の中で、実力でのし上がり、怖い物無しに、なりふり構わず突き進むケイト捜査官を演じている。
ストーリーは、麻薬カルテルの大ボスを仕留める為のチームに、謎のコロンビア人等と共に、ケイトが招集される。そしてメキシコとの境界線を超えて、シークレット・ミッションが激しい銃撃戦と共に展開されていく。
ケイトはそこで、自分の命を守るために、他人の命が無造作に奪い取られる日常や、暴力と銃によって支配と服従が成り立っている現実を目の当たりにする。人としての善と悪の境界線の中で、命の尊厳に対しての葛藤を覚えていく。
いつの世にも、悪ははびこり、倒しても倒しても、また何処かで産声を上げる。諦めないで悪と対峙し、対決していかなくてはならない。しかし、この結末は、そこの妥協点を浮かび上がらせ、後味がスッキリしない現実と現状を突きつけてくる。
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