ボーダーライン(2015)のレビュー・感想・評価
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臨場感は半端ではない
映画館)2016年劇場鑑賞。NO.12(2016.4.11 ユナイテッドシネマ豊洲にて)。映像のリアルさというか臨場感は半端ではない。それを感じる映画と解釈。作品の内容からして話の分かりやすさ、出来を求めてはいけないなと思った。感想はこんなところです。
壮絶な最前線。辿り着いた真実の“正義”とは。
【賛否両論チェック】
賛:息もつかせぬ緊迫感溢れるシーンの連続に息を飲む。衝撃の真相に、“正義”を改めて考えさせられる。
否:主人公のやや感傷的なキャラクターは、賛否両論ありそうなところ。グロシーンも多数あり。
緊迫した“麻薬戦争”の最前線にあって、突入や護送等、どこから攻撃されるか分からない緊張感が、観ていてハラハラすること必至です。
その一方で、麻薬カルテルを取り巻く陰謀や、最後に明らかになる衝撃の真実に、“正義”という言葉の多様性や本質について、改めて考えさせられます。
FBI捜査官にも関わらず、少し感傷的すぎる主人公の性格は、やや賛否ありそうなところではありますが、それほど凄惨な現場という見方も出来そうです。気になった方は是非ご覧下さい。
とんでもなく異常な世界
メキシコ麻薬カルテルもの、やっぱり最高!
とんでもなく異常な世界。法も秩序もあったものではない。綺麗事なんてない。復讐のためなら手段を選ばない。
そしてアクションシーンのカメラワークが秀逸。緊張感がハンパない。
ベニチオ・デル・トロの「いくとこまでいった」感がすごい。
一瞬たりとも気が抜けない
FBIのエリート捜査官として方やモラルに従った仕事をしてきたのに、突然無法地帯のメキシコ国境での任務に放り込まれたケイト。彼女の成長物語的な映画かと思っていましたが、いい意味で期待を裏切られた。
登場人物の目線に沿った独特のカメラワーク、重厚で重々しい音楽、迫力のあるプロペラ音と銃声・・・笑えるシーンは一切なし、最初から最後まで一瞬たりとも気が抜けない緊張感溢れる映画でした。凄惨な殺しのシーンもリアルに描かれており、ドキュメンタリー映像を見ているような感じがしました。
映画に描かれた、銃声が毎日響き渡るような街が、今も実際に米メキシコ国境にあるのかと思うと胸が痛みます。
ややグロテスクな映像はありますが、ハラハラドキドキしたい人、FBIやCIA捜査官のかっこよさを堪能したいにおすすめ。
緊張感の連続!
久しぶりに見応えある映画に出逢った。
冒頭から最後まで緊張感の連続で、マジ観終わった時、肩凝ってました…
エミリー・ブラントの立場で見ていくと本当に辛いし、絶望的になる。
デルトロはカッコ良過ぎ!久しぶりに震えました。
メキシコの闇、そしてアメリカの闇、その間で起こる事件の中、鼓動が聴こえる様な音楽、全て良かったです。
「ボーダーライン」善と悪の境界線を意味してる邦題は、ぴったりですね。
二つの意味でのボーダーライン
アメリカが抱えるもう一つのリアル。メキシコ国境地域での不法移民と麻薬、そしてそれらに絡む汚職の問題。
キャッチーなポスターが誤解を助長してるように思うんだけど、ただのドンパチモノとして観ちゃうとこの作品の問題提起を見落としちゃうんじゃないかな‥‥。
メキシコ少年のラストシーンが、作品を総括していてぐっときた。
これ、名作です。
圧倒的なリアリティー!
浅薄で勧善懲悪の単純幼稚なハリウッド映画とは一線を画する圧倒的なリアリティーで麻薬戦争を描ききった傑作!
何の説明なく、観客は主人公と同じく麻薬戦争の現場に放り込まれ、全くなすすべもなく、悲惨な現実に直面し、困惑し、絶望する。
凡百な監督なら、主人公が大活躍して麻薬カルテルを破壊するような映画になりそうだが、そうはせず、観客同様に、麻薬戦争に正義も終わりもなく、絶望しかないことを痛感させる。秀逸である!
見終わったとき、傑作ノーカントリーと悪の法則と同じく、本物の映画を見たと感じました。
容赦なし
「トラフィック」で、もさっとした気の良いおっちゃんを演じていた、ベニチオ・デル・トロが本作では、スタイリッシュなドくず野郎を演じています。いやはやその凄みに圧倒されました。
緊張を膨らませる演出が凄まじく、撮影がロジャー・ディーキンスだけあって、切れそうなほどスリリングで美しい映像は必見です。そして、その絵が美しいほどに待ち受ける惨劇の予感がとてもヒリヒリしていて、ある意味心臓に悪い映画でした。
シンプル性を保ちながら徐々に闇の深さがわかってくるような、同時にどんどん主人公は絶望の淵に迫られていくストーリーラインが、とても容赦なく、メキシコの麻薬戦争の現状とフィクションが上手く相まっていて、あっという間の2時間に感じられました。
あと、尋問のシーンをあえて見せなかったり(不気味な呻き声だけ聞こえる)、花火を見せてやるよと言って、国境の向こうの現実を銃声のみで伝えるなどの、隠し方が却って印象に残ってしまうところも上手かったです。
今作では、人がなぜ悪事から抜け出せなくなるのか、どこまでが人として正しい行いなのか、何を守って生きていくべきなのかを考えさせられました。
ジョシュ・ブローリンが前作で出演した「エベレスト」には、デス・ゾーンという言葉が出てきます。人間が順応できない高度を超えた先、いわゆる死の地帯と言われていますが、今作ではエミリー・ブラント演じるケリーが、倫理観における"デス・ゾーン"に踏み入り、観客もその息苦しさを体験することになるわけです。
原題も邦題もずばりこの作品の中枢を突いていて、観終わったあと頷かされました。
現実に米墨の国境で起きていることもあって、迫真性がとても強い良作でした。
追記:
フアレスに入って、陸橋の下にぶら下げられた死体のシーンのすぐ後、銃声がして車列が停まる場面で、アレハンドロの後ろにある掲示板には、若い女性の写真が何枚も貼られています。
きっと、カルテルに誘拐された女性たちでしょうね。
「悪の法則」でも終盤に、誘拐された娘の写真を掲げた親たちがデモするシーンがありましたが、はっきり言って、ぶら下がった死体よりゾッとしました。
現実は、もっと怖いんだろうな
アメリカとメキシコの国境付近における麻薬戦争を描いた作品。
激烈ですねぇ。日本でこの様な事が話題になることはないので、衝撃的です。単に、警察に寄る取り締まりではなく、リアルに“戦争“だと思います。
描かれている内容が圧倒的すぎて、何とも言えません。映画なので、多少の誇張は有るんでしょうが、これに近いことが行われているとすれば怖いです。
非常にトリッキーなのが、アレハンドロのポジション。ああいうことをすると、10年後とかにブーメランで自分自身に返ってくるんですよねぇ。アフガニスタンでの出来事のように。
邦題の『ボーダーライン』は、舞台となっている国境という意味の他、善悪のボーダーラインと言う二つの意味を掛けたんでしょうかね、やっぱり。洋画の邦題はトンデモナイことが多いんですが、そう言う意味では、この邦題はまだ許せますね。
越境
国境付近で繰り広げられる麻薬捜査を描いた本作。
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撮影ロジャー・ディーキンス、凄まじ。
隊列を組んで国境付近へと向かう黒い車。それを映すカメラが地上から空へと移動するライド感。ヘリコプターの羽音と共に加速し移動するカメラ。
ただそれだけだが、素晴らしい。ただただ素晴らしい。
国境への道程、それこそがこの映画の描いたものである。
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国境…もちろんそれは、アメリカとメキシコの地理的関係だけを指すのではなく。
法と超法規的措置との間にある境でもあり、善と悪との境でもある。
善?この映画に善なんてあったか?メキシコ麻薬カルテルも、コロンビア・カルテルも、かき回すCIAも、捜査するFBIも、それを指示するお偉方も、そしてシカリオ(暗殺者)も、それぞれの論理それぞれの流儀によって動いているだけであり、そこに対立が生まれ「境」があるというだけだ。
自分は正しい側にいる人間だと信じ流儀をかざすFBIの若造を、だから老獪なCIAは笑うのだ。お前の流儀で、この「境」を越えられるのか?この「対立」を無くせるのか?まだそんな事を信じているのか?それが傲慢なんだよ、と。
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FBIのケイトが「境」を越えたのは、ラスト、サインした時だ。自分の信じる流儀を捨てざるをえなかった時だ。
「捨てなければ殺す」と迫るシカリオも、遠い昔に善を捨てざるをえなかったのであり、そのオトシマエをつけるために暗殺者になった。
それぞれの越境の物語。凄まじく面白かった。
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追記1:いろいろ書いたが理屈よりも、アクション映画としてカッコいい。ミステリとして無駄を省いた脚本がいい。エンタメとして面白い。なによりベニチオ・デル・トロが素晴らしい。
追記2:「越境」といえば、コーマック・マッカーシーだなあ。そのことに触れた海外評も多い。『ノーカントリー』では、己の流儀で境を越えその傲慢さ故に罰を受けたジョッシュ・ブローリン、本作にも出演。マッカーシー『悪の法則』の越境を分かり易くエンタメに落とし込んだのが本作だと思う。
マッカーシー好きにはグっとくる映画だったなあ。
追記3:監督ビルヌーブ。『灼熱の魂』はギリシャ神話、『複製された男』はサラマーゴ、本作は(勝手な決めつけだが)マッカーシー。なかなかに文芸な監督さんだと思う。
カンヌで大好評を得るも受賞を逃した本作。(受賞作「ディーパン」も大好きだったけど)。ビルヌーブ監督は賞なんて取らんでも充分にやっていける、エンタメと文芸の境を横断しろ、ガンバレ。(素人がエラそうにすみません)
2度と俺に銃を向けるな
悪を討つためには殺してOKという考えに苦悩するFBI捜査官の話で、アクションというよりドラマをみる映画。
善と悪とのボーダーライン…自身が命の危機に何度も遭遇しいる状況だし、主人公が甘くも感じる。
冒頭の突入からの件りは激しさと不穏さにハラハラドキドキしたけど、その後は溜めすぎてテンポが悪いシーンが多く感じた。
刺激的で重苦しい素材を丁寧に
刺激的で重苦しい素材を丁寧に描いて、ちゃんと面白くなるようにしている。
予告で公開されていた冒頭場面からストーリーは一本道だが、主人公がなにも知らない状況から徐々に真相が分かってくるのを観客も目撃する形式になっており、引き込まれる。
過酷な現実をかなり衝撃的なビジュアルで見せられるのでキビしい人はいるかも。
しかしこの映画は、ベニチオ・デルトロに尽きますね。格好いい!
(シカリオ、ってなるほどそういうことか…)
エミリー・ブラント。 じゅうぶん女性的な人だが個人的にはお色気は感じない。出演は「とらわれて夏」のジョシュ・ブローリン。 ベニチオ・デル・トロがけっこういい役者だなと思った
Movix堺で映画「ボーダーライン」(Sicario)を見た。
劇場公開日:2016年4月9日
2015年製作/121分/R15+/アメリカ
原題:Sicario
配給:KADOKAWA
エミリー・ブラント
ジョシュ・ブローリン
ベニチオ・デル・トロ
午前中なのでMovix堺の駐車場はすいている。
公開初日の第1回目上映だが観客は20人くらいだろうか。
主演は「オール・ユー・ニード・イズ・キル」のエミリー・ブラント。
じゅうぶん女性的な人だが個人的にはお色気は感じない。
出演は「とらわれて夏」のジョシュ・ブローリン。
ベニチオ・デル・トロがけっこういい役者だなと思った
アメリカとメキシコの国境で起こる麻薬戦争をリアルに描いた犯罪アクション。
巨大なメキシコの麻薬組織を殲滅するため、米国防総省の特別部隊にリクルートされたエリートFBI捜査官エミリー・ブラントは、謎のコロンビア人・ベニチオ・デル・トロとともにアメリカとメキシコの国境を拠点とする麻薬組織撲滅の極秘作戦に参加する。
命の危険が頻繁に起こる。
殺された人の死体の映像が数十体。
警察官が爆弾で2人殉死。
そういう映像が冒頭からずっと続くことになる。
そういうことなので映倫区分はR15+である。
上映時間は121分。
長さは感じない。
満足度は5点満点で4点☆☆☆☆です。
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