3月のライオン 前編のレビュー・感想・評価
全244件中、121~140件目を表示
勝利の意味が少年を成長させていく
物語は、主人公・桐山零が、育ての父である幸田を対局で打ち負かす所から始まる。しかし、勝った後の彼の表情は虚ろで、なんの感情も伺えない。このシーンから、天才少年棋士と呼ばれているにも関わらず、零にとって、将棋で勝つことが喜びではなく、むしろ苦しみでさえあることを、画面は伝えてくる。
9年前、亡き父の友人であったプロ棋士の幸田が、家族を失い、身寄りのない幼い零を息子として引き取った時から、零と将棋の因縁は始まる。幸田の家庭に引き取られた零は、彼の内弟子となる。
プロ棋士の家庭で、息子として生きていくことの意味……血の繋がらない親に、自分の存在価値を証明し続けるためには、零には将棋しか無かった。将棋で勝ち続け、強さを証明することこそが、幼い彼にとっては生きていく手段であった。
そんな厳しい環境が零の才能を目覚めさせ、彼は著しい成長を遂げていく。だが義理の姉をも凌ぐ程に成長した彼の実力が、今度は幸田家の零の居場所を奪うことになる……。
このように、物語前半の零にとって、将棋で勝つことは、唯一の生きていく手段であると同時に、それは更なる深い孤独へ自らを突き落とすものであった。
零自身が叫ぶシーンの通り、彼には将棋しかない。しかしその将棋が、意図せぬ形で周りの人を不幸にしていき、自らもそれによって傷つき、更なる孤独へ追い込まれる。そこに深い彼の苦悩があった。
そんな袋小路の零の将棋人生に、転機が訪れる。川本三姉妹との偶然の出会いにより、彼は幸田家では得られなかった家族の暖かさを知る。彼女たちとの絆を深めるうちに、零は孤独から救われていく。
そして、勝つことが零を孤独に追いやるのではなく、周りの人の期待に応えること、誰かの為になるということに気付いた時、彼は初めて勝つことへの執着に目覚め、自分の棋士人生を自らの意志で歩み始める……。
このように、前半は零が一人の棋士として覚醒していく過程を追う、少年の成長物語である。これだけでも一本の映画になりそうな情報量だが、しかしこの映画はここでは終わらない。
後半は、零以外の棋士達の対局に焦点が当たっていく。
なかでも、零を先輩として導く島田八段(佐々木蔵之介)と、零と因縁を持つ後藤九段(伊藤英明)の対決シーンは息を呑む。将棋を指しているだけなのに、アクション映画並の緊張感と興奮が画面から溢れてくる。
盤面にドラマがあり、そして、それは将棋が分からない観客にも伝わるようになっている。
対局のシーンは、基本的に盤面と役者の顔のアップのショットで構成されているが、それが退屈にならず分かりやすいのが、この映画の凄いところ。盤面を映すのみではなく、役者の演技とカメラの映し方により、どちらが優勢か劣勢かを、一目で分かりやすく伝えてくれるのだ。
対局時の棋士役の役者達の演技力たるや、凄まじいこと。表情のみならず、姿勢から視線、息づかい、指先の動き、盤面との距離、指す時の音に至るまで、全身全霊でそのキャラクターの心情を表現している。
一手一手を打つ棋士達の、闘志の炎を内に抱えながらも、凛とした佇まいには、男の色気すら感じる。将棋を指しているだけなのに、そこで交わされる感情のやり取りが、何とも官能的に見える。
そして、それを追うカメラも見事。役者の顔のアップのみならず、上座と下座の構図や、肩越しのショット、煽りや俯瞰などの角度など、練られた撮影編集によって、盤面を見ずとも勝負の優劣が分かるようにされている。
棋士達との対局と、複雑な人間模様が交錯するなか、前半の物語は幕を閉じ、後編へと続く。
この映画は、孤独と人との絆、勝負の世界の厳しさ、それぞれのキャラクターが背負うものを見せることで、主人公・桐山零の成長を描く物語だった。
この作品の世界には、誰も完璧な人間などいない。零を凌ぐ実力を持つ棋士達でさえも、なにかを背負い、勝負をし、勝つことで己の道を拓くことで足掻いている。
それに気付いた零が、今後どのような成長を見せるのか……。後編を観るのが楽しみでならない。
対局シーンの表情が最高!
棋士を演じる役者陣がとにかく豪華!対局のシーンは表情だけの静の演技。とにかく圧感でした。主人公の神木くんがこの世界観を引っ張っていってる気がします。コミカルな部分もあり将棋の事も全くわからないけど、ストーリーに引き込まれあっという間の時間でした。すごく良かったです。原作にとても興味を持ったので後編までに全巻読みきりたい。
将棋初心者でも感動
神木隆之介をはじめとする全ての俳優さんがまるで本当に実在するような感覚を抱くほど演技力が素晴らしかった。子役の方々も大人に負けない迫力があり、桐山零の姉さんの子供時代を演じた女の子は圧巻。
後編が待ち遠しい。
日経夕刊の評価は星2つで、モチベーションは急降下だったけれど、とて...
日経夕刊の評価は星2つで、モチベーションは急降下だったけれど、とても面白い映画だった。
将棋はまったくわからないけれど、そんな事はまったく関係無し。
人生は複雑です
原作を大切にしている
映画だと思いました
わたしたちは
いろいろな人と出会い
交流し
影響を受け
人生を豊かにしていきます
つらい出会いが多かった主人公は
それでも
出会いの中で
優しさに触れ
少しずつ
他の人生へも
想いを馳せるようになるのだと
思います
丁寧に作られた作品に
好感を覚えました
孤独な主人公には将棋がすべて
テレビアニメで見た程度ですが予告編で惹かれて見てきました。天涯孤独の桐山君は神木が適役で少し笑うとこや、どうにもならなくて川べりで号泣するシーンが良いですね。周りの人も助けてくれるし愛すべきキャラクターです。棋譜が読めなくとも見入ってしまう将棋の試合です。棋士達もそれぞれの事情を抱えていて人間味溢れています。後編が楽しみです。
文句なし!
登場人物が原作とそっくりですごく再現度が高かった!
みんなの温かさ、力強さや感情などが少ないセリフの中でもちゃんと表れていて良かったです
あと、あかり姉ちゃんのご飯すごい美味しそうだったなぁ
羨ましい
いけオジの宝箱や〜〜✨特に佐々木蔵之助・加瀬亮、ときどき染谷将太の...
いけオジの宝箱や〜〜✨特に佐々木蔵之助・加瀬亮、ときどき染谷将太の出てくるシーンしか記憶にございませんよ★
後編はもっとちゃんと全体を見ますね(-_-)
人と人との繋がりが希薄に感じる
原作既読です。
なんというか…人と人との繋がりみたいなものが薄いな…と思いました。特に川本家。
3月のライオンは人との繋がりが大きなテーマなのに…と思っちゃいました。
有村架純はすごくよかったのですが、私の大好きなあかりおねいちゃんが印象的でなかったのが残念です。
後編を見るかは検討します。
原作知らないけど…
原作を全く知らずにただ映画館での予告編だけでおもしろそうだと思って観てみました。ストーリーにもっと将棋の事が入ってきて将棋知らないとわからないかと…心配してましたが面白く、引き込まれました。おすすめです!
観て大正解!いい映画でした!(将棋のルール知りません)
将棋の映画だと思って敬遠して観ないと勿体ない!上質のヒューマンドラマでした!
そして、将棋のルールはおろか駒の意味もほとんどわかってないのに、対局シーンは引き込まれる引き込まれる…!
棋士の表情や雰囲気にめちゃくちゃ心を掴まれました。
台詞もほとんどない対局シーンが物語るものがすごい!見終わって将棋のルールが知りたくなりますねこれは。
なんか出演者も豪華だし、ストーリーも色々盛りだくさんで、ホントに贅沢で濃密なすごく面白い映画でした。
これは、後編も期待大です!!
将棋をもっと観たい、かも。
またもや漫画原作で、例によって、その原作は読んでいない。
企画を聞いたときに、これは大友啓史の題材ではない、と漠然と感じていた。「ハゲタカ」のときからそうだが、もっとエモーショナルなものをずっととりあげてきた監督だと思っている。
有村架純が家族を壊したとなじっても、あまり響いてこないし、原作では相当重要らしい川本3姉妹にしても、桐山(神木隆之介)がごはんを食べに行っているだけにしか見えない。
桐山は対局を重ねることで人間として大きくなっていく。
映画は、そこをこそ見せたいのでは、と思えてならない。
棋士を演じる俳優たちが、それぞれにエモーショナルなのだ。
後編では、川本3姉妹の父親 伊勢谷友介が登場し、ドラマが大きく動くようなのだが、実は、こういった一切をきって対局にしぼったほうが映画的ではないかと思っている。
ただ、そうなるともはや「3月のライオン」ではなくなるらしいのだが。
おもしろかった
大友監督の作品であり神木さんが主演なので見に行きました。
ストーリーがおもしろくとくに有村さんのこういう役は初めて見てすごく引き込まれました。
続編は将棋のルールを少し学んでから見たいと思っています!
すごく楽しみです。
緊張と緩和の娯楽作
原作、アニメとも未読未観ですので、
似てる似てない等は全く気にせずに観られました。
将棋もほとんど知らないけど、
以前に全く知らない「ヒカルの碁」にもちゃんとハマれたので、
知らなくてもドラマがしっかりしていれば面白いだろうと思って鑑賞。
案の定、ドラマがしっかりしていて、楽しい!
特に対局時の緊張感と三姉妹との絡みの緩和シーンとのバランスが
悪くないと思いました。
役者陣は流石!!神木君は安定の神木君!!
佐々木蔵之介さんが、登場して数分間はほぼ台詞も無いのに
存在感と緊張感が目力と佇まいで伝わってきて
改めてやっぱすごいな〜〜
染谷君はエキセントリックな役で、やってて楽しかったのでは〜
思わず小寿々姉さん!(笑)と突っ込みたくなった綾田俊樹さんも。
羽生善治氏を思わせる役どころの加瀬亮さん
存在感がまるで「神」のようでした。
後半が楽しみですね。
全244件中、121~140件目を表示