「原作ファンと頭脳戦好きは期待しないで。」デスノート Light up the NEW world NandSさんの映画レビュー(感想・評価)
原作ファンと頭脳戦好きは期待しないで。
映画.com用
前提として
・二回目。
・実写映画版『デスノート』『デスノート the Last name』『L change the WorLd』は視聴済。
・佐藤信介監督の他作品だと、『GANTZ』『GANTZ PERFECT ANSWER』を視聴済。
実写版のファンは好きだと思う。
少なくとも『~the Last name』は観ておいた方が良い。あくまで、実写映画版『デスノート』シリーズの続編だから、マンガ版を知っているだけでは分からなくなる。
なので、月vsLみたいなバチバチの頭脳戦が観たかったらオススメしない。推理しても、説明しまくってて物足りない。
今作は、"デスノート"を大量殺人兵器として描いている。前作までと違い、警察サイドがノートの存在を知っているところから物語は始まる。なので、新世界を創る道具ではなくて、兵器としての争奪戦が繰り広げられる。
ルールがどこまで忠実なのか、ちょっと気になった。ノートを焼却しても、リュークのことは視えるのか、とか。まさか、『L change the WorLd』を無かったものにしたわけではあるまいな……? ニアのことも然り、月とLの遺伝子のことも然り……後付けっぽい設定多くない?
多分、描きたかったテーマは人間の悪とか正義感とか、そういう話なんだと思う。実写映画版シリーズでは、常にその終わり方で描こうとしていた。
正直、月vsLの話の中だと余計だと感じていたのだが、今作のキャラクターたちであれば違和感なく受け入れられる。オリジナルキャストが多いからだろう。あくまで争奪戦とそれに伴う犠牲の話。
ノートを使う人間たちの中にも、どうしようもないクズとか、自分の利益しか考えない人だとか、ただの愉快犯だとか……観客の倫理観も問われているみたい。
ちなみに、物語の終わり方は"人間悪"そのもの。
死神たちも、オリジナル(?)の存在が二体も出現。ビジュアルくそカッコいい。でも、リュークのセリフに違和感があったり、アーマを作劇上持て余している感じはあった。
メインは人間だから良いのだけれども、アーマをあそこまで動かすならばもう少し何かが欲しい。彼女のしたことはどこまで意味があったのか、とか。
エンドロール後に月のセリフが挟まるのだが、あれは絶対要らなかった。本当に要らなかった。
ここまで色々と書いてるけど、めっちゃ好き。
キャストの東出さん、池松さん、菅田さんみんな演技が素晴らしい。三島の狂おしいまでの真っ直ぐさとか、竜崎の飄々としているようで人一倍仲間を失うのが怖いところとか、紫苑の気持ち悪さとそれを自嘲しているところとか……
この、デスノートで人生が変わっていった男三人の絡み合いが超いい。終盤に三人が対峙するところとかめっちゃ好き。あそこまで音楽と画を壮大にする必要はないけどエモい。
そこにミサミサと松田が居るから、前作への懐かしさも楽しめる。松田……なんか描き方に違和感あったな。でも、竜崎の「松田さん」という部分にしっかりと影響力残してるから良し。
デスノートの使い方にヴァリエーションが増えてるのも観ていて楽しかったな……逆に銃とかヘルメットで武装した相手にはほぼ無力だったり……
最早、『デスノート』じゃないけど、"デスノート作品"としては嫌いじゃない。そんな作品。