「計画通り、って言えば良いってモンじゃない」デスノート Light up the NEW world ちみちゃんがさんの映画レビュー(感想・評価)
計画通り、って言えば良いってモンじゃない
今までは原作を読んでいれば補完出来ていた部分が、全く無くなってしまった為にアッサリした内容に感じてしまいました。
池松さんは怪演、原作にも負けない気持ち悪いのに格好良くて応援したくなるキャラクターに仕上がってました。
ただキラが非常に残念で。
読者は皆知ってるのに、ライトの巧妙なやり方に寄ってキャラクター達が騙され、動かされていく中で、こいつすげえ、って思わせるのが大事なんです。
漫画では心理を文字にして丁寧に読ませられる為に、ライトがいかに独善的な下種野郎で清々しい悪役であったか、伝えられたんだと思います。計画通り、の顔の恐ろしさ、頭の切れがより分かるというか。
今回のキラさんは正体不明だった上に計画通りだった結果、特殊部隊に襲われます。
しかもそいつにLを引き継げってオチが、いや、無理だろ、と思わせくれます。
役者の力量も問題ですが、シナリオを書いた人が根本的に理解できてなかったんだろうな、と。
逆にあのメッセージであれだけ絵を描いて動けた紫苑が凄すぎでした。
紫苑が迷わずキラを殺してしまった方が説得力があったくらい。
お前はジェバンニかw
もう1点、永遠に近い命をもって地獄に飽き飽きしてる死神が
デスノートを人に渡して、それを見て楽しむ、のがリュークのスタンスだったと私は理解していましたが、どうやら死神大王になりたくて沢山人殺しするヤツにノートを渡したかったみたいです。
ドラマでも、違和感ありましたけど、基本リュークは観測者なんです。煽ったり感謝したりはするけど、自分では行動せず、人の愚かな様を見て笑いたいだけなんだと思います。
今回のリュークは見た目の迫力は凄かったけど、お前誰、っていう印象でした。
更に、デスノートの世界では死んだら天国か地獄に行きますが、デスノートを使った人は無になっちゃいます。
現実の話ですが、死んだ後の世界があると信じているから、テロリストの末端は性器に香水を振ってハーレムにいけると信じて自爆出来るんです。
それが物語りだと知っていても、靖国で逢える信じて。その上に酒や薬物の力を借りて無になる恐怖を振り切って自爆できるんです。
果たしてあの程度の小物の三島に死んだ後の世界があると知った状況で無になる覚悟が出来たのか。
良い事をして死ねば天国にいける世界、死の恐怖を克服できる世界
と分かってライトと同じ道を進む、ある種の頭の悪さが彼に有ったのだとしたら、それを描く必要があったと思います。
デスノートの原作で描かれた娯楽性とテーマ性の共存が余りにも薄かった。
娯楽性だけの、名前を書いたら死ぬノートがある、というアイディアだけで話を進め、キャラクターの掘り下げや話の中身は以前の作品の印象任せといった感じでした。
細かい事を言えば、直前に通信が妨害されたにしたって、警察はミサを監視してたんじゃないのかよ、ノートもって出てくの誰も見てなかったのかよ、とか。
お前ら顔隠して近づけよ、とか。
ノート3冊くらいでいいんじゃない?死神も3人しかいないし、とか。
ライトがアメリカで遺伝子残してた?、とか。
納得いかない事は色々出てきますが、案外テンポは良くて殺人ノートがあるんだ、誰が使ってるんだろう?
犯人をどうやって捕まえよう?くらいの話として観れば絵的には興味深い、面白い場面が多く、竜崎や紫苑の頑張りもあって、一応観れなくは無い感じには仕上がってると思います。
原作もドラマもアニメも触れずにこれだけ観たら案外観れるのかも。
逆にデスノートと名乗る以上原作と比べて内容を考えてみるとかなり突っ込み所の多い、デスノートのアイディアと名詞だけを借りた別物の薄い映画と言えると、私は思いました。