「愛と受容」リリーのすべて セロファンさんの映画レビュー(感想・評価)
愛と受容
トランスジェンダーの男性(女性)とその妻。
二人の複雑な感情が絡み合い変化していく様子が伝わってきました。
リリーの苦しみ、妻ゲルダの苦しみ。両者それぞれの視点から考えさせられました。
性同一性障害という言葉すら無かった当時のリリーの苦しみ。医者にすら理解されず、否定されたり拒絶されたり…その孤独や絶望感は計り知れませんが、彼女のそばにゲルダのような妻がいてくれてよかった。LGBTの認識のない当時を生きるリリーにとってゲルダのような存在がどれだけ大きな救いだったろう。
妻ゲルダの感情も複雑。愛する夫アイナーの中にいるリリーの存在を受け入れるという事は、彼とのこれまでの関係を否定する事でもある。自分を置いてどんどん“リリーになっていく”夫に対し、もう勝手にして!って突き放す事もできたかもしれませんが、孤独や哀しみに満ちた心に蓋をして最後まで寄り添ってあげていました。
世界初の性適合手術に臨み道を切り開いたリリーの覚悟も大変なものですが、そんなリリーを理解し受け入れたゲルダの深い愛情や葛藤にも心を打たれました。
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