「エディ・レッドメイン、入神の演技、必見の作品。」リリーのすべて bashibaさんの映画レビュー(感想・評価)
エディ・レッドメイン、入神の演技、必見の作品。
この映画は「同性愛」の映画ではなく、「二重人格」に関する作品です。主人公の男性の中に「リリー」という女性が存在していて、夫婦生活を続けていくうちに、次第に「リリー」の存在が大きくなって、遂には当時、危険であった性転換手術を決意する、というのが大まかな筋です。
最近、日本でもLGBTに関してもマスコミがさかんに取り上げ、ゲイのタレントが活躍したり、女性同士の結婚式の様子も放送されています。私はこのようなタレントが活躍したり、その種の報道がなされるたびに「果たして大々的に報道される価値のあるソースなのか?」と思っていました。マスコミ全体がLGBTの人たちを全力で応援しているという嘘くさい風潮に辟易していました。そういう訳で、映画を観終わった後に涙が込み上げてきたのには我ながら驚きでした。今年は14,5本の新作映画を見ているのですが、レビューを書く気になるような映画には出会えませんでした。「ディーパンの闘い」や「ヘイトフル・エイト」のような面白い映画もあるにはありましたが、とてもレビューを書く気にはなれませんでした。しかし、この映画は違います。エディ・レッドメインの入神の演技、そして、レッドメインの役を補完するアリシア・ヴィキャンデルの演技、共に素晴らしいものがありました。レッドメインはアカデミー賞を逃しましたが、オスカーなど軽く超えています。
最後の暗転には唖然としましたが・・・。
人間は平等だ、などということばは嘘です。人間は多様性に富んでいて、そのことについて人間は寛容でなくてはならない、というのが本当のところでしょう。
それにしても、久々にいい映画を観ました。
涙には心を浄化させる作用があるのです。