「アクションコメディの枠を越えた快作」ベテラン 三遊亭大ピンチさんの映画レビュー(感想・評価)
アクションコメディの枠を越えた快作
「ベテラン」見ました。最高でした。宣伝通りの爽快アクションに仕上がってます。傑作「ベルリンファイル」のリュ・スンワン監督と、「新しき世界」のファン・ジョンミン。韓国映画好きなら鳥肌モノのコンビですね。
まずストーリー。全体的にはよくあるお話。それをカバーしている、御曹司の超絶悪事と、ベテラン刑事の暑苦しいまでの”昔気質”。御曹司が直接人を傷つける描写(女の顔に食べ物を投げつける等)はもちろんだけど、1番グッと来たのは「マンションCMの女」ですね。ここだけで80点プラスです。こいつ最低だ〜ってのを簡潔に表しつつ、笑わせてくれる。実際ここだけではなくて、全編通して笑ってる客は多かった。
逆に刑事側は、暑苦しいだけで捜査能力はありません。というのも、刑事側が悪を追い込む過程ではあまり爽快感を感じない。常務が自首した所から話は結末に向け加速するけど、多分自首して来なければ事態は平行線でしょうね。
ラストの直接対決は最高です。明洞でのカーチェイス&格闘。行ったことがある人ならわかると思うけど、明洞でここまでやったの?と感心せざるをえない。すごいですよ。分かんないけど、日本なら渋谷とか新宿のど真ん中でドンパチ撮るようなもんでしょ。
あとはそこでの御曹司の、他人の迷惑を考えない行為ね。渋滞の中を横から突撃したり、白バイに正面から突撃したり。この御曹司の行儀の悪さは全編不愉快極まりないけど、ここで確信した。こいつは超一流企業のボンボンとして長い事育ってるから、自分が偉い(何をしても許される)と勘違いしてるんだと。だからカメラでバシバシ撮られてても警察をブン殴るし、轢き逃げしたんだね。こんなクソ野郎が最後に捕まるんだから爽快じゃないワケがないでしょう。
総じて、最高でした。洋画で言うと「リーサルウェポン」的ですかね。単なるアクションコメディの枠に収まらず、容赦のないエグ味をプラスした快作であり、最後に悪党を懲らしめる事に一点集中した爽快感Max!ありがとう、ファンジョンミン!