レヴェナント 蘇えりし者のレビュー・感想・評価
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壮大なサバイバル
はじめから最後まで不幸度MAX
登場人物の「全員」がはじめから不幸度MAXで、その不幸度がMAXのまま終わってしまう。
地獄とはこんな世界のことを言うんだろう。
とにかくひどい事件が次から次に起こり、もうやめたげてぇ〜、と悲鳴をあげたくなる。
誰も善人ではないが、誰も悪人でもない。
極限環境の中、皆が過酷な判断を余儀なくされる。
全員がリアルな罪と業を背負った「人間」。
テーマは分かりやすいわけではなく、また重層的で複雑なので、これはいったい何を観せられているのか?と混乱する。
テーマの一つは、生き物が生き物を喰らう、生きるとは、何かを犠牲にすること、というルールに誰も逆らうことができない、という悲しさ、おぞましさ…、かなあ。
もう一つは、神と信仰。神が存在するかしないかではなく、神にどう向き合うかが、過酷な運命であるほどに、とてつもなく重要であること。
あとはもちろん、「差別」や「アメリカの侵略の歴史」もあるだろう。ネイティブアメリカンを単に虐げられた弱者とするのではないところに、歴史の深み、複雑さを感じる。
ネイティブアメリカンに対して「野蛮人」と蔑む世界観の中で、「人間は皆野蛮なり」という言葉が真に迫ってくる。
最後のシーンはよく分からなかった。なぜ主人公はフィッツにとどめを刺さず、アリなんとか族に対処をゆだねたのか…。
アリなんとか族は確実にフィッツ殺すだろうから、なんか意味あんの?って思った。
アリなんとか族が主人公を殺さなかったのも、偶然主人公が部族長の娘を助けてたからなんだろうけど、「この偶然いる?」「どういう意図のストーリーなの?」ともやもやした。
映像は全体にリアリティがすごくて、まるでドキュメンタリーを観てるよう。特に戦闘シーンがすごい。ありがちなアクション映画みたいにカメラをぐるぐる動かして無理やりすごみを出すんじゃなくて、視点はあまり動かず分かりやすいんだけど、同時進行でどんどんいろいろなものが手遅れになっていく、本物の緊迫した戦闘の恐ろしさが描けている。
世界観で一つ納得できなかったのは、主人公周りの人達のヒューマニズムがちょっと現代的すぎるとこ。
主人公がクマに襲われた後、瀕死の主人公を見捨てるという判断は、何も悪役のフィッツに全部をおっかぶせなくても、冷静に考えて十分ありえそうに思う。
あんなに簡単に何十人も簡単に死ぬ世界だったら、それはおかしくはない。それをものすごい極悪人の判断みたいにしてるのが何だか変な感じがした。
ホークを探しにわざわざ大勢で捜索したり、逃げたフィッツを捕らえるために隊長自ら出るというのも、あの世界観にそぐわない気がする。
史実をもとにしてるらしいので、どの辺が史実の通りで、どの辺が脚色してる部分なのか気になる。
雰囲気押しには尺が長すぎる。
兎にも角にも「ディカプー、おめでとう!」の一本。
それだけ(今作での演技が好きか嫌いかは別として)鬼気迫る演技は凄かったし、それと同じくらいにトム“デキるマッチョ”ハーディ演じる悪役が素晴らしかった。
自然光云々はどうでもよいが、さすがルベツキ。
画面・映像も素晴らしい情景を切り取っている。
ただ肝心の物語はメッセージ性も薄く、演出も冗長。
結局「アメリカに来た白人は屑」という事なのだろうかと思ってしまう。
このまとめ方が嫌いなわけでは決してないが、ディカプーがなぜ混血児の父親になったのかなどの、背骨となる経緯は盛り込んでもよかったのではないかな。
結局先住民に特段の肩入れをするわけでもなく、息子の仇と言いながらチンタラぶらぶらしているような印象を、長尺ともあいまって感じてしまった。
とりあえず今作から確実に言えるのは「野生の熊は物凄く恐ろしい」と言うことか。
個人的に嬉しかったのは「なんちゃって家族」のヘタレ(偽)息子が、しっかりとした存在感のある役を演じきっていた事。
やはり顔だけで押し切らない、こうした裾野の広さは素晴らしい土壌だと思う。
ともあれデートでは決して観に行くべき作品ではないし、この作品についてしたり顔で語る方は信用しないほうが良い作品。
自分の目で観て、感じたことがすべて。
すごいの一言
思いのほか良かったです
前半のサバイバル劇と後半の復讐劇
TOHOシネマズ伊丹で映画「レヴェナント 蘇えりし者」(The Revenant)を見た。
公開3日目でしかも話題作なので観客は多い。
午後からはもっと多いだろうと思う。
午前中第1回のこの回の客入りは8割くらいだろうか。
開映30分前に劇場に到着したが後ろから3列目に2つ席があった。
映倫区分R15+なので夫婦だけで見た。
レオナルド・ディカプリオが第88回アカデミー賞で主演男優賞を受賞。
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」に続き2年連続の監督賞を受賞。
エマニュエル・ルベツキが「ゼロ・グラビティ」 Gravity (2013) 、「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」に続きアカデミー撮影賞を3年連続受賞した。
前の4分の3は、登山中にヒ熊に襲われ瀕死の重傷を負ったレオナルド・ディカプリオが町にたどり着くまでのサバイバルのパート。
後の4分の1は、最愛のひとり息子を殺されたレオナルド・ディカプリオが雪山でトム・ハーディを追い詰め復讐するリベンジのパート。
大まかなストーリーはただそれだけなのだが、ディカプリオがヒ熊に襲われる大迫力のシーンや冬の大自然の中でサバイバルするシーン。
ひとりのインディアンの男に助けられるシーンや、さらわれたインディアンの娘を助けるシーンなどにも時間がさかれる。
上映時間は157分と長いが長さを感じさせない。
満足度は5点満点で4点☆☆☆☆です。
重厚な傑作
復讐の先に、、
衝撃作。感想から言うと、原作は読んでいませんがよくここまでの映画を製作できたなという感じです、とても良かった。
物語は単純明快、息子を殺された男の復讐劇です。でもそれだからこそ良い、この映画自体が本当に表現力豊かなのです。
まず評価すべきは、あの大自然の中でのロケを成功させあれだけ見事に映像の中に収めきったということです。照明を使わず自然光だけで撮影したということだったのですが、本当に映像のクオリティが高い。クマに襲われるシーンなど、リアルそのものです、とにかく臨場感があり、スケールの壮大さを訴えかける。
そして主演男優賞をようやく獲得したディカプリオと、他名を連ねる俳優たちの演技も本当に流石、鬼気迫るものがありました。特にレオは木の根っこも動物の内臓も実際に食べたそうですが、よくあそこまで体を張ったものだなぁと、、。彼らの演技に映画館で拍手を送りたいくらいでした。
また音楽は坂本龍一が担当しているということだったのでこれも楽しみにしていたのですが、あえて派手さを抑え映画の空気感と調和させていて、これも感心しました。
ただ少し長いな、と思ったのですが、今考えるとどのシーンをとっても鮮烈で、全く省くことは出来なかったなと、そんなところでイニャリトゥ監督に共感してしまいました。
少し体力が必要です、軽い気持ちで鑑賞する映画ではないと思います。
『圧巻』
このキャストでこのスタッフ。こんなん、面白くないわけないじゃないですか。それはもう凄いの一言。思わず、前のめりで観てしまった。
まずは、撮影のルベツキさん。史上初アカデミーで三年連続撮影賞受賞だけあって魅せ方が非常に上手い。戦闘シーンは長回しでとって途切れることのない一貫した緊張と興奮を巧みに表現していた。観客がまるで実際に戦場にいるような気分にさせるほど没入感が高い。しかし、バードマンのようにずっと長回しが続くわけではなく、一つのシーンが終わったら間に雄大かつ険しい冬の風景のショットを入れるなどしていた。これにより長回しで没入感を高めたあとで俯瞰的に観て気持ちをリセット出来るとともにディカプが置かれている厳しい状況も冷静に把握できる。雪の重みで木々が軋む音など緊張感が続く役割も果たしていたりと本当に巧みな撮り方だと思う。何回でも観たくなるほど美しい撮影だった。
そして、何と言ってもディカプの演技。もはや、本当に熊にやられたんじゃないかと思うほど完璧。生きる原動力があるからこそ生きられると身をもって証明してくれた。最近のグリーンバックで撮る映画に比べるとその差は歴然で役者たちがスクリーンの中で実際に息づいているのがわかるくらいリアルだ。実際に寒いから凍えるわけで、演技だとこちらが疑う隙を与えない。これで主演男優賞とれなかったら何をすればいいんだってレベルの演技だった。
音楽も坂本龍一を起用していたりと全てにおいて一流な人材が揃っている。それらをうまくまとめたイニャリトゥ監督はまさに巨匠にふさわしいのではないか。監督としてはまだ若いのにもかかわらずこんなにも実績を残しているのもこの手腕なら頷ける。
今、メキシコからハリウッドに流れている風はこれからどう変化していくのか非常に楽しみだ。
●浦和パルコにて鑑賞。IMAX2D字幕。 ●レオ様の最新作。この作...
●浦和パルコにて鑑賞。IMAX2D字幕。
●レオ様の最新作。この作品で念願のアカデミー主演男優賞を受賞したレオ様に期待。
●まず言えることは、とても美しい映画だということ。アメリカの大自然が目の前のスクリーンに広がって、まるで自分が冬の西部開拓時代に投げ出されたかのような170分でした。
●レオ様の演技は、まさに命がけ。アメリカの大自然に1人で立ち向かいます。台詞はほとんどないのですが(熊ちゃんに喉を裂かれちゃったので)、目と身体で復讐に燃える男の生への執着を表現しています。
●タイタニックのころには、まさかこんな凄みのある役者になるとは思いもよりませんでした。タフさではジョンマクレーンにもひけをとらないキャラクターを演じ切りました。というか、途中からタフすぎて引き始めました…馬をテントにするのかよ…
●西部開拓時代ということで、インディアンや野生動物との戦いを描いており、ちょっとグロめです。慣れない人は気をつけましょう。プライベートライアンが大丈夫なら余裕です。
●個人的に気に入ったのは、中盤に出会う孤独なインディアンとのからみ。いわゆる「フード理論」で、食事を起点とした絆が描かれます。超タフな男2人が降ってくる雪を食べようとして舌を出し、戯れます。レオ様はこの映画でほとんど笑わないのですが、このシーンでちょっぴり微笑むんですよね。萌えます。
●少しばかり回想や幻のシーンが長いかなと思いましたが、大きく変わったレオ様が見られるだけでも十分です。おすすめ!
Revenge is in god's hand. ディカプリオがアカデミー賞を受賞した復讐劇
この作品でついに念願のアカデミー賞を受賞したレオナルド・ディカプリオ。アカデミー賞にふさわしく息子の復讐に燃える父親を熱演しています。
とにかくディカプリオさんがひどい目に遭い過ぎでした。インディアン(ネイティブ・アメリカン?)に襲われ、クマに襲われ大けがをし、息子を目の前で殺され、滝から落ちるわ、崖から落ちるわ、もうこれでもかと言わんばかりにハードな状況の連続です。木の根、生魚や生肉食べたり、極寒の中裸同然だったり、セリフも少なくうめき声と顔芸と・・・あれだけ頑張ったらさすがにアカデミー賞あげてもいいですよね(^^)ご苦労様でした。
さて肝心の映画の中身の方ですが、色々と凄い映画である事は間違いないのですが、個人的にはさほど面白いとは思いませんでした。基本的にアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督の映画は玄人ウケはするけど一般ウケはしない印象なんですよね。いつも前評判がいいので色々と作品を観てしまっているのですが、どの作品ももう一回観たいとは思えないものばかり。うーん、一般人の自分にはきっと合わないんだろうなぁっと思います。
今回自然の映像美は素晴らしかったです。そしてインディアンの襲撃やクマに襲われる描写のリアルさは一級品でした。長回しの緊迫感はさすがです。その反面あれだけ大怪我したはずのディカプリオが最後の方では歩けるようになってたりと、とてもリアルな場面があるだけに余計にご都合主義な所が目立ってしまったような気がします。下手に上映時間が長く間延びするシーンも多いのでおかしな箇所を考える時間ができてしまっているんですよね。
グロシーンも多いですし、間違っても人におススメできる作品ではないですが、映画マニアを自称する人の登竜門としていかがでしょうか?
迫力
期待してたけど
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