「シネマそのもの」レヴェナント 蘇えりし者 大仁得さんの映画レビュー(感想・評価)
シネマそのもの
数年ぶりに作品を鑑賞するのはなかなか気分がいいですね。
ストーリー的に私が予想できたり繰り返されたりするシーンが少なくもないのですが、それをともかくとして『レヴェナント:蘇えりし者』はシネマそのものです。ルベツキの圧巻な撮影はもちろん、演技、音楽、編集、音作り、全てはトップクラスでまるで自分がキャラクターと一緒に旅をするようです。私もインディアンの攻撃直前どきどきし、傷を負い、寒風を痛感しました。イニャリトウ監督は一瞬たりとも妥協せず極力でリアルな体験をもたらしてくれたことだけに感銘しないではいられません。
そして映画の長さもありがたいです。2時間半より短くするなら確かにプロットがもっとスムーズになる一方で、主人公の苦しみを感じられなくなると思います。その対話のない、いわゆる内容のないシーンこそが衝撃を与えて印象に残るのではないでしょうか。
50年後にこの映画は現代クラシックとして話すに違いないでしょう。
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