劇場公開日 2016年4月22日

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「これぞ映画。」レヴェナント 蘇えりし者 nokkinokinokiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5これぞ映画。

2016年5月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

知的

予告編を見ていて、息子を殺された父親の復讐劇、そしてサバイバル劇だということは承知していた。ストーリーとしても、まさにそのとおり。

しかしまあ、それを知った上で見たにもかかわらず、上映時間の2時間36分間、圧倒されっぱなしだった。
すさまじい映像。
そのすさまじさは、全編をおおう威圧するかのような大自然。
その中でちっぽけな存在にもかかわらず懸命に生きようとする人間の執念。
大自然にまず立ち向かわなければならないはずなのに、人間同士が戦ってしまう醜さ。
その戦いで武器によって殺傷される際の痛さ、この映画の場合は弓で放たれた矢が身体に突き刺さり、身体をえぐり抜く際の肉体的な苦痛が、見ているこちらにまで伝わってきそうなほどのリアル感。
それらがみごとに描かれているためである。
さらには、ときには極寒の地の凍えが、ときには氷結寸前の河川の冷えが、ときには餓えが、ときには夜の帷の恐ろしさが、容赦なく主人公を襲ってきて、それらもまたすべて、見ているこちらが体感しそうなほどなのである。

いやはやどうも、大きなスクリーンとしっかりした音響設備を持つ映画館で見るべき映画。
ディカプリオのアカデミー主演男優賞、受賞は当然。
彼の身体を張った演技を見るだけでも、その価値は十二分にある。

原住民と侵略者の関係、復讐の善悪、神の存在、監督がちりばめた意味ありげな象徴の数々、それらを考える鑑賞もありだとは思うけれど、その前に、とにかく一度、この映画に抱かれてみるべき。

nokkinokinoki