「復讐の行く末にグラスが見つけたもの」レヴェナント 蘇えりし者 神社エールさんの映画レビュー(感想・評価)
復讐の行く末にグラスが見つけたもの
原作、荒野に生きる未鑑賞。
アカデミー賞でこの作品がノミネートされてからこの作品がどういう点で優れているかをWOWOWぷらすとで予め聞いていて、2ヶ月間待ち焦がれてたんだけど、ようやく観れたこの作品は1シーン1シーンが素晴らしく、まるで自分もグラスと共に荒野に佇んでいる様な錯覚さえ覚えて厳しい寒さながらも雄大な景色に感動していた。
ゼログラビティやバードマンでも思ったけど、エマニュエル・ルベツキの映し出すシーンが場面転換でさえも気を抜かず、どこで画面を止めても絵画の様でひたすら見惚れてたなあ…。
原作がアメリカでは幼稚園の劇になる程親しまれているらしいけど、そうとはちょっと思えないほどむきだしの人間模様に感じられたし、そんな中でキリストを信仰しながら数々の悪行を重ねるフィッツジェラルドと、信仰を持たないながらも復讐の最中人助けをするグラスやブリッジャーにアメリカ人が"信仰"するキリスト教の価値に疑問を持たざるを得なかった。
鑑賞中思ってたのが同じ"復讐"と言うテーマを描いた「METAL GEAR SOLID V PHANTOM PAIN」。
グラスもスネークも大事な物を失い、瀕死の重症から生還して復讐を為すけれど、その過程で得られるものが真逆の道を選択させる事になるってのは興味深いし、何の要素が二人の行く末を分けたかを考えると作品のテーマ性も自ずと解りそうな気がする。
事前にそういうシーンがあることは知ってたけど、それでもベジタリアンなのを表明しているディカプリオが作品の為にあんな血が滴る生肉や生魚を喰らうシーンは驚いたし、思わず口に出して「素晴らしい!」と言いたくなる程の役者魂を感じた。
過去に映像化された「荒野に生きる」もいつか観てみたいな…。