「キャラクターに助けられている」デッドプール ゼリグさんの映画レビュー(感想・評価)
キャラクターに助けられている
デッドプールというキャラ自体は大好きです。
いわゆる一般的なヒーローにあるところの良心の呵責というものが、このキャラには一切ありません。
人を痛めつける事になんの躊躇も無く、それだけで彼が他のヒーローとは違う、全く異質の者として際立った存在感を出しています。
最低ゆえに最高なキャラです。
ただ、映画の撮り方としてはクローズアップが多く、画面が窮屈に感じられ、少し残念でした。
アクションシーンに関しては良く撮られているのですが、それ以外のシーンにおいては何かと役者の顔のアップ、もしくはバストショットに寄ってしまう事が多く、役者の演技に頼り過ぎだと感じました。
この監督はクローズアップを撮っておかないと夜も眠れないのでしょうか。
デッドプールのあの衣装で、街中をうろついている姿だけでも面白い画なのに、もったいないですね〜
覆面のヒーローがタクシーで移動し、運ちゃんと意気投合するというシュールな絵面はとても良く、あんな感じの映画的な笑わせ方をさせている画をもっと、アホみたいな構図で真面目に撮ってほしかったです。
あの衣装、凄くお金掛かっているんじゃないでしょうか。
せっかくだから、もっと画面上の「一般社会からの浮き具合」を上手く使ってほしかったですね。
あと、過去と現在を交互に見せるやり方は、あまり良い方法とは思えません。
物語をつぎはぎにしなくても、デッドプールのキャラクターの面白さは出せると思いますし、過去と現在を行ったり来たりされると、現在で起きているアクションをぶつ切りにされたようで、時系列順に見せてもらうより、明らかに見辛いです。
「現在」のデッドプールがもっと見たかったですし、一般人がヒーローになる経緯は、僕個人としてはさほど興味は無いです。
「じゃあデッドプールがどんな奴かわかんないじゃねーか」と思う観客のために監督は説明したんでしょう。
ただ僕は、ああいうキャラを人間臭く描かれるのは少し嫌です。
特に意味は無く、一本の映画として見た場合の好みの問題なのですが、僕はデッドプールを「正体の良くわからない、頭のおかしな最低のカッコいい覆面ヒーロー」として見せても問題は無いと思います。
ヒーローとしての成り立ちがわからなくても、観客を魅了する事が出来る程の魅力を、デッドプールは持っていると思うからです。
そういう意味ではたぶん、続編の方が面白いんじゃないでしょうか。
大好きなキャラなので、またスクリーンに帰ってくるのを期待しています。