劇場公開日 2016年6月1日

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「最高のデートムービー」デッドプール みじんコさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0最高のデートムービー

2016年6月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

『アイアンマン』から始まったアメコミヒーロー映画の快進撃は世界的には大ヒットコンテンツとして受け入れられているものの日本国内に限っては連続する物語性、増え続けるキャラクターの数 等が仇となり、正直 好事家以外からは支持を得ているとは言い難い状況だと思います。

今公開中の『シビルウォー・キャプテンアメリカ』に関しても今までマーヴル映画を追いかけて来たファンからすればマーヴル映画の集大成と言える大サービス精神、予想を裏切る熱い展開、『正義とは?』を問いかける奥深いテーマ性etc… に大満足の作品ではあるのですが、同時に強烈な一見さんお断り作品でもある事は否めないと思います。(ラストのカタルシスの無さとかなぁ;)

…そこで今回公開された『デッドプール』ですが、鑑賞前はR指定の強烈なバイオレンス&下ネタ、自身をコミック(映画)のキャラクターだと自覚しているメタキャラクター展開等々… アメコミヒーロー映画の中でもかなりマニアックなファン向けの作品になってるんだろうな… と思っていたのですが、その予想はガッツリ裏切られました!

…これって
最高のデートムービーなんじゃね?!

それが僕の鑑賞後の感想でした。

まずヒーロー映画の最重要要素『主人公がいかにしてヒーローとなるか』の展開が『愛する人の為に自ら悪の組織の改造手術を受けにゆく』という昭和ライダー並みのにシンプル&わかりやすい!
(自ら進んで改造手術を受けにいくあたりはストロンガーっぽい?)

戦う理由も『正義とは?』とか『平和とは?』みたいなややこしい理屈は一切抜きで『愛する人の為に、奪われた自分の真の姿を取り戻す』というシンプルに共感できるキャラ造形!

…まぁ、その目的を果たす過程の行動がムチャクチャ&チョー自分勝手ではあるんですけど、それでも観客目線でデッドプールが応援したくなるヒーローとして成立しているのは『愛する人の為に自分の命を捨てて戦う』という姿勢が貫かれているからだと思います。
(単なるトリックスター的な面を強調したキャラだと『ビートルジュース』とか『マスク』みたいな感情移入を拒むキャラになっていたでしょう、デッドプールのキャラクター性を殺さずに共感できる人物像を作り上げた映画版スタッフ、グッジョブ!)

…そしてラストシーン、自立した女性像?を求められる昨今のジェンダー表現から10年代に入って見かける事も無くなった、超ベタな…所謂『ハリウッドエンディング』の気持ち良さよ!!

メタヒーローが1周回ってシンプルで力強いヒーロー映画が再生してるやん!と言う思いです。

個人的には事前情報で期待値が上がりすぎちゃってて『意外と低予算やん!』とか『もっとバイオレンス描写を!』とか『もっと第四の壁を破りまくってムチャクチャやって欲しかった!』という思いは無くは無いのですが、そのあたりは続編に期待するとして、複雑化するアメコミヒーロー映画界隈に対して、一般層にも受け入れられるヒーローエンタテイメント作品をキッチリ作り上げたスタッフ(彼らこそ真のヒーロー)に拍手を送りたいと思います!!デップーにまた会いたい!!!

ヘビーなアメコミ映画ファンはもちろん、
アメコミヒーロー映画初心者(特にカップル)におすすめの作品です!

みじんコ