「「感動もの」より「ドキュメント」の感触」消えた声が、その名を呼ぶ まーさんの映画レビュー(感想・評価)
「感動もの」より「ドキュメント」の感触
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突然の強制徴兵で生き別れになった娘を探し、国を越えあらゆる困難を越えて旅する父親の物語。
とにかく戦争、虐殺、貧困、飢餓、レイプなど、この世の地獄のような描写が満載。でも画面はあまり悲劇として演出せずに一部始終を淡々と映し出すだけ。物を盗んだり、民族や信仰で線引きをして殺しあわせたり、通りがかった女をいきなり引き倒してレイプすることは善でも悪でもなく「日常」「当たり前」と示し、逆に観客の善悪感を揺さぶる。
「泣ける!親子愛に感動!」みたいな前評判を聞いていたけど、どちらかといえば戦争の怖さに泣いたし、ラストの再会シーンもややカタルシスは薄かったかなあ。邦題が派手にネタバレだし、その時だけはっきり発声できちゃって拍子抜け。邦題自体は素敵だと思うので、音にならないのに何故か娘が気付いて振り向くとか、もう少し「消えた声」感を出して欲しかった。
あと双子の設定必要だったかな…?
だから「感動作で泣きたい!」という人にはあまりオススメしない。私は砂漠のシーン見てるだけで喉渇いたし義理の姉のくだりとかひたすら辛すぎてカタルシスを得られる余裕はなかった。
むしろ人種差別や女性差別について考えさせられたので、社会派ドキュメンタリーのつもりで見るのがちょうどいいかも。
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