劇場公開日 2016年6月18日

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「名怪優、香川照之が引き出すどす黒い人間の闇」クリーピー 偽りの隣人 オレさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5名怪優、香川照之が引き出すどす黒い人間の闇

2020年9月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

元刑事で犯罪心理学者として大学講師も務める高倉とその妻康子。
新しく引っ越してきた挨拶にと訪れた隣家には少しおかしな雰囲気の中年男性の西野と娘の澪が暮らしていた。
そして同時期に現れた刑事時代のかつての相棒野上と8年前の未解決事件の再捜査によって巻き起こる人間のどす黒い闇を引きずり出したサスペンススリラー。

一時期謎に共演の多かった西島秀俊と香川照之の2人をメインキャストに据えた今作。
監督は国際的にも評価の高い黒沢清監督で、昨今の邦画作品とは一味違った作風でエンタメ作品ながらも異質の作品を発表し続ける鬼才。

とにもかくにも香川照之の怪演が不気味を通り越してもはや存在がホラーだった笑。
噛み合わない会話、常識足らずの行動や言動が次第にエスカレートし、異常者の振る舞いを徐々に見せてくる姿に鳥肌。
一見普通に見える西野家の不気味な内部に隠された普通の家には考えられないような巨大なコンクリ空間で行われる異常な死体処理など出自も動機も思考も全く読めない人物を見事に演じてみせた。

完全に主役を喰う存在で今作の評価はほぼ香川照之になってしまう笑。
警察の対応が無能だの康子の行動が理解不能だのという声も多いが香川照之様様すぎてそんな些細な点覚えてない笑。

それと対をなして印象に強く残るのが全編通して残る胸糞悪さである。
特に高倉の機転でピンチを乗り切ったラストシーンでは娘として服従させられていた澪が死んでいる西野に蹴りを入れたり口汚く罵ったりとしながら解放された安堵と今までの恐怖から泣き笑いの形相になっていたり、薬漬けにされて意識朦朧とされてしまった妻の泰子が雄叫びのような叫び声で泣き喚く中、静かにエンドロールが流れ出したりと一切の希望もなく終わる作品という印象が強かった。
それが癖になるので好きな人にはオススメ笑。

オレ