ラスト・ナイツのレビュー・感想・評価
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紀里谷監督の熱い覚悟に泣けました(T^T)
「命を落としても構わないという覚悟でやってきた10年間」とコメントした紀里谷監督の覚悟を絵にしたような、素晴らしい作品でした。
『しくじり先生』への出演で、一時天狗になってしまい日本映画界を追われてしまったと語った紀里谷監督。失意の中で、全く人脈のなかったハリウッドに単身乗り込み、苦労のうえやっと掴んだチャンスが本作でした。それだけに、全編を通して、監督の直向きなな熱意と努力の跡を感じました。
その苦労を裏付けるように、ハリウッド製作といってもメジャーは全く関わっていません。エンドロールを眺めていても、米国名に並んで韓国の製作プロダクションが名前を並べています。また製作は、DMM.COMのみで、日本のテレビ局や大手広告代理店は関わっていないのです。そんなボッと出の新人監督の成立するかどうかも確証のない企画に、モーガン・フリーマンがよく出演を承諾したものです。
それだけ忠臣蔵を騎士道に置き換えた本作の脚本が素晴らしかったのでしょう。
忠臣蔵のハリウッドリメイク版といえば、映画『47RONIN』が近年公開されましたが、ひどい駄作で興行的にも大コケしました。まして紀里谷監督の前作『GOEMON』では、史実を無視して奇抜な映像表現に特化した作品だったので、またトンデモな忠臣蔵リメイクになるのではないかと危惧していました。
しかし、本作はそんな危惧を吹き飛ばす王道の騎士道物語に仕上がっていて、驚きました。これまで作品にあったようなケレン味は全くない、実写にこだわったルックなんです。しかもとても分かりやすい筋立て。本作に命懸けで取り組んで、紀里谷監督が反省したのは、きっと自分の映像作家としての才能を見せつける映像を改めて、いかに観客目線で楽しませる映像を作るかということだったのだろうと感じました。
それでいて、しっかり忠臣蔵の要素はしっかり押さえていて、日本人にはとても馴染みやすい展開なのです。しかも忠臣蔵を大幅にパワーアップしていました。仇討ちの対象となる大臣は堅固な城塞に閉じこもり、300人もの屈強な騎士団に守られていて、どう見ても、主君の仇を討つことは絶対不可能という状況に設定されていました。より困難だからこそ、それを幾多の伏線を経てかいくぐる仇討ち側の騎士団の戦略に、グイグイと引き込まれていったのです。
ただ紀里谷監督らしさも健在。日本人俳優も参加した多国籍騎士団という設定も、紀里谷監督が描くと、全く違和感なく融合して、無国籍な雰囲気を醸し出してしまうのです。 また雪景色の中、進軍する騎士団のモノトーンな映像など、随所で圧倒的な映像美を見せつけられました。
見どころとしては、まずモーガン・フリーマンの存在感を示すところ。賄賂大臣から殺されそうになった主君バルトーク卿が、国王に裁かれるとき、命を賭して賄賂大臣を断罪するところ。もう圧巻です。
そして、冷酷にも国王は、バルトーク卿がわが子同然に接してきた騎士団長のライデンに主君の斬首を命じるシーンです。拒むライデンに、主君の命令は騎士に於いて絶対とバルトーク卿は厳命するのです。断腸の思いで、父親同然のバルトーク卿に刀を振り上げるシーンは泣けてきました。
処刑後、仇敵となった大臣を、じっと睨見つけるライデンが印象的でした。
もう一つの見どころは、1年後に仇討ち決起までの意外性です。
自ら主君を討ってしまった、贖罪の思いからその後のライデンは仕事もしないで、酒浸りの日々を送っていました。そこまでなら大石内蔵助とさほど変わらないのですが、愛する妻とも離婚をして、昔の騎士団仲間からも蔑まれ、さらには主君の娘が娼婦に落ちようとも助けようしなかったです。これには大臣側の監視スパイも、見ている観客も仇討ちは絶対ないだろうと思ってしまう徹底した体たらくぶりが、忠臣蔵とは違うところ。それがどうして大きなギャップを乗り越えて、決起に繋がるのか、見てのお楽しみです(^。^)
さらに、後半の見どころは攻防戦。少数精鋭のライデンの騎士団が、大臣の立てこもる城砦に侵入して、大勢の大臣側の騎士と手に汗握るソードバトルを見せつけてくれました。
中でも、騎士団長同士の一騎打ちとなるクライヴ・オーウェンと伊原剛志の対決シーンは、激しい殺陣の応酬で見応えありました。お互いの構えがとても決まっていて、きれいな所作なんです。双方が渋くてかっこいい!
また、すべてが終わったあと、騎士団の最後の顛末も、忠臣蔵とは少々違った展開となるのでご注目。
『ラスト・ナイツ』とは最後の騎士という意味。本作の時代に騎士道は廃れて、名誉のために命を懸ける騎士はいなくなっていました。ライデンの騎士団を除いて。その騎士団のなかで最も高潔な騎士であったライデンが、最後に下した決断こそ、『ラスト・ナイト』のタイトルにふさわしいものだったのです。それは『ラスト・サムライ』につながるものでした。きっと感動するラストです。
忠義と名誉に徹することにおいて、騎士道も武士道も、洋の東西を超えて共通なのだと思えた物語でした。
単純に面白い
監督が誰とか、俳優が誰とか、ハリウッド映画だとか、そういう前置きなんて関係がないくらい分かりやすくて面白いと思う。まぁ、でもハリウッド映画なんだよねぇとは思ってしまうかな。
アクションとかよりも、感情的な表現の方が良かったように思う。人と人との繋がりが非常に分かりやすく伝わってくるので、それゆえに無理なく自然に画面の美しさを十二分に堪能できた。
伝統的なお話や超有名なお話は、世界村のように仕上げてしまうという監督の意図がよく理解できた。映画のストーリーは、往々にして他から借りてくる方が多いと思うのだが、こうやって自由に仕上げていけば原作はいいのにーなんて陰口を言われることもないかも。そうすると、原作無視!なんて非難されてしまうのだが・・・
悪役も憎ったらしかったし、頬をぶたれ・抱きしめられたその思いがガンガン来るし、決起の瞬間は鳥肌たったし、大好きなグラディエーターのようだったし、とにかく年に一回のエンターテイメントなんだなぁと、感動した!
紀里谷名刺もらったし、もう正月来る前に満腹です。
武士を騎士に置き換えた忠臣蔵
何だか日本人監督が作っている筈なのに「日本好きの外国人が忠臣蔵を独自に解釈して映画にしてみました」と言うように見え、最後までそれが頭から離れませんでした
忠臣蔵を知っていると知っているせいで展開がわかっているので、常に忠臣蔵と比べてしまい純粋に「ラスト・ナイツ」として楽しむ事ができない、実は忠臣蔵を知らない方が楽しめる形を変えた忠臣蔵入門映画なのかもしれません
P.S.:悪い大臣役のアクセル・へニーがどうしてもスティーヴ・ブシェミにみえてしょうがなかった
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