劇場公開日 2015年11月14日

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「監督の人生を感じさせる作品」ラスト・ナイツ Tommyさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0監督の人生を感じさせる作品

2016年5月11日
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私はまず紀里谷監督の考えや彼の挑戦に非常に共感して、過去の作品「CASSHERN」や「GOEMON」、さらにあらゆるメディアでのインタビューや対談、テレビ出演を調べて何十と見尽くした上でこの作品を観ました。
この映画は彼の挑戦したいものが非常に感じられる作品です。それは過去の作品からも一貫しているものだと思います。
まず「国家」という括りに対する挑戦、それは出演するキャストの国籍や肌の色を気にせず、観終わるころには違和感を感じさせないでいること。これは、この作品にある忠誠心、自尊心などの価値観が世界共通としてあるのではないかというメッセージ性にも繋がっているように感じられます。
さらにCASSHERNもそうでしたが、それぞれの正義に対する主張から起こる復讐によって、戦争が終わらないという側面をもつというメッセージも感じられます。だからこの作品は単に忠誠心は美しいだとか、正義だと主張するわけではないと私は解釈しました。

またこの映画を製作したという挑戦自体感動しました。
日本人がハリウッドで映画を作るということ。モーガン・フリーマンなどと名だたる俳優達を前に、映画を完成させなければならない。とてつもないプレッシャーだったはずです。だけど「日本人だから」とか、「自分にはできない」といった根拠のない壁に闘い続けた。

特典映像でも、出演したキャストが一貫して言っていたのは「監督はやりたいことがはっきりしている」ということでした。モーガンもそのような事を言っていたのは非常に重みがありました。映画の意義として、それはすごく大事なことだと思います。

さらに字幕に関しても、今回は戸田奈津子さんと一緒にああじゃない、こうじゃないと話し合いながら作り上げたそうです。戸田奈津子さんも「本当はこうあるべきだと思う」とおっしゃっていました。これまで字幕と内容の印象が違うことに違和感をもつことを経験した方も多かったはずです。

さらに監督自身でビラ配りをしたり、直接全国へ足を運んで映画の思いを伝えたり、映画を我が子のように大事に思ってやるべきことは全部徹底的にやる。そういう姿勢を感じられる映画でした。
この映画は日本人の誰かが挑戦しなければならなかった映画だと思います。映画を批評すること自体迷いましたが、そういった意味で私は素晴らしいと評価しました。

Tommy