「優等生紀里谷なんて嫌だ!」ラスト・ナイツ 三遊亭大ピンチさんの映画レビュー(感想・評価)
優等生紀里谷なんて嫌だ!
「ラストナイツ」見ました。
あんまり面白くなかったです。と言うのも、この手の鎧着込んだ連中がチャンバラする映画が苦手です。なので出来不出来はよく分からなかった。紀里谷和明の監督としてのキャリアの仕切り直しと位置付けられる今作、この題材は
やはりリスキーだなと思いました。誰が作ってもある程度賛否が分かれるジャンルですからね。
けど、紀里谷監督が作りたい世界は十分伝わった。
「GOEMON」を見て思った事があります。それは、紀里谷監督はキャラクターを立たせるのが上手い。彼は元々写真家なので、被写体の魅力を引き出すのが上手いんです。映像の分野でも活躍してまして、代表的な作品は宇多田ヒカルの「traveling」のPVですかね。あの色彩の美しさと、宇多田ヒカルの可愛さを引き出す手腕は天才としか言いようがない。あとGOEMON自体を酷評する人は多いけど、個人的には凄く楽しめた。評価できないのは安っぽいアクションシーン。でもそれは、紀里谷監督が描きたい事が日本の映画の予算では実現するのが難しかっただけでしょう。
だから今作では、莫大な予算を元に紀里谷節を遺憾なく発揮してくれたと思う。それだけで紀里谷ファンとしては嬉しいです。
ラストの合戦に於いて、各キャラの見せ場がなくて全体的にショボかったりしたのが残念。でもその中でGOEMONと全く同じような映像の進化版みたいな事もやってくれたから、楽しめる部分もあるし、俺はここまで出来んだぞ!みたいな紀里谷の叫びを聞いた気がした。
総じて、楽しい作品ではない。けど紀里谷和明史上では最高でした。次作を作るならば、題材はティムバートンみたいなファンタジーがいいと思います。紀里谷和明のクリエイターとしての才能を活かすには間違いない題材。お願い致します。楽しみです!