「『偶然』という『必然』」俳優 亀岡拓次 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
『偶然』という『必然』
『TEAM NACS』という北海道の劇団を知ったのは『水曜どうでしょう』というテレビ番組。その番組でさえ、面白いとは思っても、突っ込んでは視聴していなかったので、このお化け番組の人気の凄まじさはネット等でしか知る由もない。そして、その中でも大泉洋の活躍は目覚ましく、あれよあれよいう間に全国区に登り詰め、今では大河俳優。続けとばかりに、今回の主役である安田顕がブレイク必須の様子である。下町ロケットで全国区に顔を知らしめたようだが、自分なりに演技が光っていたのは、園子温監督の『みんなエスパーだよ』。あの飄々とし佇まいと似つかわしくない二枚目の端正な顔立ちは、興味をそそられる人物である。
そんな演技派揃いの俳優陣をラインナップした今作品は、大人のファンタジーとシュールな作風に仕上がっている。一つのストーリーなのだが、その中でまるで一話完結のような形で短いストーリーが繋がっている構成になっている。そのストーリー間を繋ぐモノは、テレビに映っている話題であったり、それぞれのキーワードが出てくると場面が変わっていく。その場面展開に太い横軸があり、それが脇役として人生を送っている俳優亀岡拓二?の生き様なのである。
内容はそんなに難しくはない。それ故、ストーリーの盛り上がりはそんなにはない。脇役専門という俳優ならではの悲哀といじらしさ、切なさが唯、黙々と進んでいく。そんな難解な演技をこなす安田顕の実力の程を強く感じられるのは、『男はつらいよ』的なものなのかもしれないと勝手に推測してみたりする。
所々に小ネタもあり、笑いもあるのだが、やはり亀岡の小市民的な受け答え、自信のなさと、しかし幸運の女神に守られているヒキの強さ。そして毒気がない愛されキャラ。その象徴とも言える台詞が『すいません』何とも甘えるようなお詫びの言葉にやられてしまう。
TVディレクターや未だヒヨッコの映画監督だけではなく日本やスペインの巨匠が彼を使いたがる理由は、彼の可能性の広さではなく、存在そのものが唯一無二だということを直感で見抜いているのだろう。
でもそんな彼も恋愛はやはり成就せず、上手くはいかない人生の悲哀を観客に訴えてくる。
鑑賞後は直ぐに心には響かない。でも自分の今までの人生を振り返ったとき、なんとなく、自分だけじゃないという孤独感からの救いがじんわりと感じ取れる作品であった。まさに『負け犬のレクイエム(鎮魂歌)』ではないだろうか。
この作品。私もリアルタイムで観ました。安田顕初主演作。今のメジャーさは当時は想像できなかったです。鑑賞直後、宇宙飛行士のオムツ以外、心に響くことが何も無かったのですが、ジワジワと沁みてくる作品。小市民の悲哀でした。\( ˆoˆ )/\( ˆoˆ )/\( ˆoˆ )/ レビューはありません。当時はこの掲示板的なサイトの存在すら知りませんでした。ましてや映画の感想を記録するという概念すらなく、映画は見たまま それで良し状態でした。