殿、利息でござる!のレビュー・感想・評価
全266件中、141~160件目を表示
人生楽ありゃ苦もあるさ
水戸黄門的お決まりが観たい方には超オススメ。『歴史考察がぁ!』て方は回れ右
地元民的には後者寄りが良かったが、あの内容ならもう少しコメディ色を強めにすべきだったか?
楽しめた方も中途半端感は残ったのでは無いでしょうか?
2016年上半期、一番泣けた映画
2016/06/16、MOVIX亀有で鑑賞。先日コンセチャレンジで当たった無料鑑賞クーポンを使いました。
例によって原作(磯田道史『無私の日本人』所収『穀田屋十三郎』)も読んで予習はバッチリ。
正直なところ、原作には説教臭さを感じてしまい、感動はしたものの、読後感はあまりよくなかったのです。
でも、『無私の日本人』というタイトルの本を、『殿、利息でござる!』というタイトルで映画化するセンスと、主役の穀田屋十三郎が阿部サダヲさん、というところに期待して、観に行きました。
期待以上でした。
今年観た映画の中で、一番泣きました。
そういえば、『予告犯』の中村義洋監督だったのですよね。
『予告犯』も泣かされて、わたしの去年観た映画のナンバーワンを争っているのです。(日によって、『レインツリーの国』と1位2位が心の中で入れ替わります。決めきれない……。)
人のために何か役に立つことをしたい、という気持ちはもちろんわたしにもあります。ありますが、そのときにはちょっとでいいから誰かに褒められたい、という欲も、正直あります。
遠藤寿内(西村雅彦さん)の振る舞いが、観ていると笑っちゃうんだけど、でもその気持ちもわかる、という感じ。
それだけに、彼らの「つつしみの掟」は、古き良き日本人ならでは、といった感じで、心に響きます。
ここまで人のためにすべてを投げ出せるものか、そしてそれを誇らずにいられるものかと。
あと、わたしは、自分の育った家庭環境が複雑なので、家族との確執と和解を描かれると弱いです。
兄(長子)なのに穀田屋に養子に出された十三郎と、弟で実家を継いだ浅野屋甚内(妻夫木聡さん)。
原作ではなぜ長子が養子に出たかは書かれていないのですが、そこにドラマを作り出すところが、本当にうまいなあと思います。
二人の父親が山﨑努さんで、いかにも厳しそうでがめつそうに見えて実は、というのも、ぐっときました。
前述の遠藤寿内が、最初は儲け話と勘違いして、そのあとは見栄のために参加するところとか、菅原屋篤平治が心ならずも巻き込まれていく感じとかは、コミカルで面白かったですね。
実在の人物なのにこんなふうに描かれて、菅原屋さんのご子孫は大丈夫かしら、と思いましたが、原作によれば篤平治には子がなかったようなので、まあいいのかな?
穀田屋さんは、いまもお店が残っているそうです。
ちょんまげが銭になっているポスターと『殿、利息でござる!』というタイトルから、完全なコメディを予想して観た人の中には、裏切られたと思う人もいるでしょう。
こういう方向のプロモーションでよかったのかしら? とは思います。
わたしは「原作を読んでから観る派」だから、これがコメディで終わる話でないのはわかって観に行ったわけですが、「すべての観客が事前に原作を読む」なんてことはありえないわけで。
原作を除けば、わたしが得ていた事前情報は、タイトルとポスターと「羽生結弦さんが伊達の殿様役で出演!」というニュースぐらいだったので、笑いを期待して映画館に行って期待外れで低評価のレビューを書いている人がいるのも仕方がないような気はします。
そういえば、羽生結弦さんは見事でした。
やっぱり世界で戦っている、しかもオリンピックとグランプリシリーズと世界選手権の三冠なんてやってのけたことのあるトップ選手は、舞台度胸がありますね。
もちろんプロの役者さんではないので素人っぽさはありますが、そこがこの映画では、殿様が下々とはかけ離れた存在であることを示す味付けになっているように思いました。
あと、萱場杢(松田龍平さん)が、とても酷薄でよかったです。まあイヤな奴でした。
美形が冷たい目をすると本当に怖いですね。
ほかのキャストも豪華で、とても見応えのある映画なので、ぜひ公開中に劇場でご覧ください。
配役が素敵
気持ちいい映画
原作の「無私の日本人」を読んでみたくなった。
現代では、ボランティア精神という言葉と置き換えると理解が深まるか?それだと、ちょっと聞こえ方が軽く感じてしまうのは私だけだろうか。
日本人には、ボランティア精神は根付かないとよく言われる。
しかし、日本人には昔からお互いさま精神や、もったいない精神など、海外に誇れる国民性がある。
お互いさま精神などは、ボランティア精神に通ずるところがああると思うが、意味合いが少し違う。お互いさまは貧富に関係なく存在するが、ボランティアは富の象徴である気がして、あまり僕は好きではない。
自分のすべての財産を自分以外の何かの為に…、そんな崇高な人間がこの世には確かにいた。
「海賊と呼ばれた男」に登場する日田重太郎もそんな一人だと思う。
この映画にも、そんな素晴らしい人物が登場する。
見終わった後には、すがすがしい気持ちが胸いっぱいに広がる、そんな映画でした。
ぜひ、ご覧あれ!
阿部サダヲさんは安定
お上VS庶民
よかったです
構図的には山崎努VS松田龍平
250年前の仙台藩の小さな村が舞台。実話だというが、面白すぎる。いや、たいへんためになる作品だった。「マルサの女」の山崎努が、登場シーンは少ないものの重要な役回りで出演している、ご高齢で大変だったろうと思う。松田龍平君がほんとに嫌味な役をやっているが、ものがたりの中では、これまたキーパーソンである。しかも登場シーンすべてに緊張感があり、物語を締めてくれている。さらに、仙台出身フィギュアスケート選手羽生結弦の特別出演がある。脚本がよいので泣ける上に、最後には笑えるという深い感銘を受ける仕上がりになっていた。妻夫木聡、瑛太、阿部サダヲみないい。出てくる役者が全て顔つき体つきから扮装まで当時を研究して再現しているかのようで、リアリティを感じた。基本はコメディだが、サスペンス要素もあり、原作を読んでみたい。
無私の知恵。
今まさに渦中の都知事に感想を述べて頂きたい作品だけど
無私という言葉が浸透しなくなった日本人にも一考ありの
作品。阿部サダヲと瑛太の予告編からコメディであること
は承知していたが後半まさかの感動話が盛り込まれていた。
どう見ても兄弟には見えない(失礼)二人ながら、妻夫木が
先代から継いだ使命と、養子に出された阿部に受け継がれ
ていた志が繋がると、あ~血は争えないわやっぱりと感動。
夜逃げや破産にあえぐ宿場町を重い年貢から救うべく手段
を講じたまさかの奇策。藩の財政を請け負う萱場役を珍しく
龍平が嫌みたっぷりに演じて絞殺したくなるほど憎々しい。
全観客を味方につけ、さあいよいよ!最後の大勝負に出た
同志たちの前にオーラたっぷりにあのヒトがお出ましする。
老いも若きも名演づくしの泣いて笑える極上の快作だった。
(3億円とは尋常じゃない資金繰り、よく記録してあったねぇ)
殿、蛇足でござる!
実話時代物としてそれなりに楽しめるが、それ以上でも以下でもない一本。
特に演出上の工夫も無く、豪華出演陣も取り立てて光る適材適所の扱いも無く。
かと思えば話題づくりのパンダだけはちゃんと入っている、何じゃこれ?感。
「誰がこの作品を作りたがったのか?」という意図が全く伝わらず。
ただただ「お祭り感」だけで作られた、凡百の近頃の邦画にしかなっていないのは。
史実にのこる美談に対する「蛇足」でしかないのではなかろうか、と思ってしまう。
そのくらいに映画的工夫・脚色・朝鮮が全く感じられないのがとにかく残念。
せっかく日本一の飛び道具役者:阿部サダヲを使っているのに、不発弾で終わらせたのはある意味監督の腕の見せ所だったのだろうか。
「アヒルと鴨」の監督はもういないんだ、と淋しくなる作品。
コメディかと思っていたら…
予想外に奥深い話で、人の想いや家族の絆に、思わず涙が出てしまいました。
しかも実話というのだから凄いですよね。
羽生くんが殿様を演じると知って正直、演技できるのかなと思ってたんですが…
新人俳優だと言われても全く違和感なく自然に演じてる様に私には見えました。
あの錚々たる俳優陣の中で凄いですよね。
阿部サダさんはじめ、妻夫木くんに瑛太くんに見事な俳優陣が沢山出演していて楽しかったです。
最後の山崎努さんの笑顔が素敵だったな。
山崎さんは出番は少ないけど存在感があって未来の子らのために、世代を超えて願いを託したんだろうなと感じさせてくれるとても素敵な笑顔でした。
観終わった後に少し幸せな気分になれる映画だったと思います。
無私という日本庶民史の「結晶」
「殿、利息でござる!」とは、なんともキャッチーなタイトルである。それにつられて鑑賞すると、意外なほど内容はシリアスであり、さらには、これが江戸時代の庶民たちの実話である、ということに二重の驚きがある。
このお話の舞台は仙台藩の貧しい宿場町「吉岡宿」
領地を収める仙台藩(藩主は七代目、伊達重村)からは、藩の運送費などを吉岡宿が負担することとされていた。もちろん、当時は身分社会。藩主や藩士の権力は絶対的だ。
もし、運送業務に支障があれば、その責任を取って、吉岡宿住民の首がすっ飛んでしまう、そういう時代のお話である。
吉岡宿では、代々続くこれらの重税に我慢できず、夜逃げする者が相次いだ。夜逃げが増えて、宿場町の人口が少なくなれば、なおさら一人当たりの税は重くなる。そのため余計に夜逃げが増える。
まさに、負のスパイラルに「吉岡宿」は陥っていた。
「このままでは吉岡宿は潰れてしまう……」
宿場町の将来を案ずる商家、穀田屋十三郎(阿部サダヲ)は、茶作りを営む菅原屋篤平治(瑛太)に相談してみる。
町の知恵者として知られる、菅原屋篤平治。
彼は、かねてから抱いていた密かな計画をこっそり打ち明けた。
「いいですか、伊達の殿様に吉岡宿から金を貸すのです。そして利息をいただく。その利息で税を賄うのです」
貸し付ける額は、ざっと見積もって金1,000両也。
今の貨幣価値で約3億円だという。
この驚天動地の「殿様利息プロジェクト」は、こうしてスタートを切るのである。
この作品の監督は「アヒルと鴨のコインロッカー」や「ちょんまげぷりん」
「予告犯」などの作品で知られる中村義洋氏である。
中村監督作品では「ちょんまげぷりん」が大変面白かった。
江戸のお侍が現代にタイムスリップし、シングルマザーの家に居候となり、特技を生かしてパティシエになる、というファミリーストーリーである。
主役の錦戸亮くんが、ちゃんと「ナンバ歩き」をしていたり、当時の武士の佇まいを忠実に再現して見せているところに好感が持てた。
その中村監督が本作を手がける。
僕は本作を観る前、既に磯田道史氏の原作「無私の日本人」を読んでいた。
穀田屋十三郎、菅原屋篤平治、吉岡宿の篤志家たち。
江戸時代の身分制度の下では、庶民の実像は「ノミ」「虫けら」程度に思われていたことがうかがえる。
特筆すべきは、本作の慈善事業が、地元の吉岡宿を助けたい、という庶民自らが立案し実行したこと。しかもその功績を、末代に至るまで絶対に口外してはならない、という「掟」さえ定めていたのである。
このため、彼らの事業は本来なら、歴史の地層深くに埋もれてしまう運命のはずであった。
だが、彼らの偉業を後の世のため、本に書き残して欲しいと、ある人物が磯田道史氏に、まさに「嘆願書」として依頼したのだ。
江戸末期の武士のリアルな日常を丹念な調査で描き切った「武士の家計簿」。
この本を書いた先生なら、きっと吉岡宿の恩人たちを、粗末に扱うはずがない。依頼者はそういう切実な思いで、磯田氏を選んだのである。
その狙いは正しかった。
磯田氏は資料を調べながら、おもわず「涙を押さえきれなかった」と語る。
そして彼は本書を「無私の日本人」と名付けた。
「無私」とはなにか。
私を勘定に入れない、そしてなにより他の人を優先に「世のため、人のため」という意識を強く持つということだろう。
これを一言で言えば「公」(おおやけ)である。
余談ながら、江戸期に入って「公」の意識が庶民の間に広く浸透していたことが、のちに明治維新後、驚くべきスピードで近代国家を作り上げていく原動力の一つになった、と司馬遼太郎氏も語っている。
それはまさに「透きとおるような、澄み切った、みずみずしい公の意識」をすでに江戸期の庶民たちが持っていた、という日本史の奇跡である。
これらからわかる通り、本作は実は極めて重厚な内容の作品なのである。
それを「殿、利息でござる!」という軽妙なキャッチフレーズで、エンターテイメント作品の体裁として整えた。
内容はあくまでも重く、暗い。しかし、表面の体裁はポップに。
これを映画としてどのように実現するのか?
作品中、どうしてもシリアスに、シリアスになってしまうお話の流れ。
それを上手く転換し、あくまでもサラリと楽しめる作品に仕上げた、中村監督の手腕がうかがえる一作である。
妻夫木聡のファンになりました
妻夫木聡、出演作何度か観ていたはずですが、今まで全く顔が覚えられませんでした。しかし今回の浅野屋役!!出てくるたび物悲しそうな憂いを秘めたような顔をしていて、泣いてしまいました。いい顔しますね。
予告編見ずにポスターだけ見て行った作品だったので、タイトルから殿から利息もらって悠々自適に暮らそうというコメディかと思って
たのですが、全然違う!!いい意味で期待を裏切ってくれました。
序盤は阿部サダヲにおされ嫌々巻き込まれる瑛太を面白く観ていたのですが、ストーリーが進むにつれて先代浅野屋の子、子孫、町を思う気持ちが明らかになり、涙なくしては観れませんでした。その想いに突き動かされ役人、町民が動く。1人の父親の想いから始まった願いが何十年の時を経て叶ったんです。町を救った。他人にどう思われようがかまわない。ただただ自分の信じている正義を貫き、子孫、町の幸せを願っていた男がいた。そんな素晴らしいストーリーに道化を含ませコメディタッチで描いたお腹いっぱいの作品です!
すべてが丁度良い
美談の天丼
全266件中、141~160件目を表示