「一周回って、シックス・センス枠に戻る謎。」ヴィジット さぽしゃさんの映画レビュー(感想・評価)
一周回って、シックス・センス枠に戻る謎。
私は疑り深い人間で、裏の裏の裏を読み、でんぐり返しを繰り返し、首すじを痛めてしまう人間です。いや、首筋を痛めるくらい、色々と考えを巡らせる作品が大好きなんです。
また、大勢の人が酷評している作品は、全力で擁護したい捻くれタイプです。
そんな私がずっと柱の陰から見守り続けている彼、そしてその作品達。
"シックス・センス"という姑息な作品がまんまとヒットしてしまい、「現代のヒッチコック」って言われるのを否定せずに受け止め(w)、ラストでびっくり映画を期待する観客から逃げられなくなってしまい、その後は巧みなメタファー、しっかりしたテーマのある映画を撮ろうと、「ラストがつまんない!」と、一般客だけではなく、プロの批評家さん達にまで伝わらず、不当な評価をされ続け、鬱憤がたまって、思わず「レディ・イン・ザ・ウォーター」で批評家批判をしてしまい、「大失敗!」と烙印を押され、どんどん泥沼から抜け出せなくなり、「よし、こうなったらファンタジーや!ファンタジーやったら、どんでん返しとか期待されへんやろ!」って、(私は好きですが)"エアベンダー"を撮るも、ファンタジーにまで「ラストにどんでん返しがない!」と、ファンタジーですら、ラスト、ラスト!ってうっさいくらいに言われ、「マジか!?どないせーちゅーねん」な彼。
ええ、彼とは勿論、M・ナイト・シャマラン監督です。
姉のレベッカと、弟のタイラーが祖父母の家に滞在します。
そこには不思議な、グレムリン的なルールがあります。
1)楽しい時間を過ごすこと
2)好きなものは遠慮なく食べること
3)夜9時半以降は部屋から絶対に出ないこと
まぁ、勿論グレムリンと同じく、約束は破られるためにあるんです。
そうすると、祖父母が妙な態度をとりはじめて……っていう、スリラーっぽい感じです。
あ、グレムリンの3っつの約束って何でしたっけ?そうそう。
1)光に当ててはならない
2)水をかけてはならない
3)深夜(0時)を過ぎたらエサを与えてはならない
って、なんでこれだけなのに守れないんですかね!?守ってしまうと、話が進まないからですね。分かります。
本作は"パラノーマル・アクティビティ""インシディアス"のプロデューサーである、ジェイソン・ブラムと一緒にやってるので、最近は少し食傷気味のハンディ・モキュメンタリー方式で撮られています。
加齢で動体視力が衰えた私には、手ぶれってきついんです。
しかも低予算で、シャマランのセルフプロデュースらしいです。
でもですね、本作かなりシックス・センス的です。お話のプロット的にということですよ。テイストは、全然違います。
どんでん返せばいいんだろう!?お前らこれが欲しかったんだろ!?ほら、欲しかったと言え!
って、観客をM女、もしくはM男扱いしています(妄想です)。シャマラン監督の、開き直りさえ感じます。
マノジ、きっと諸々と吹っ切ったんだね。
でも、なんか寂しいような気がします。
だって、私がなんでシャマラン監督が好きかというと、自分が好きなキテレツな映画を一生懸命に撮ってるんだろーなーって感じるからです。
今回もセルフ・プロデュースだから、好きな映画なんでしょうけど……。一度作られたシックス・センス枠に、一周回ってまたはまりに行くの?って思ってしまう。
"オブ・ザ・ベースボール" を書いた円城塔せんせのように、もっと舐めきった不条理な世界を描き続けて欲しかった!分かんない観客には、歩み寄らんでも良かったのに!とか言ったら、怒られるかなぁ。
※今までのシャマラン作品は、ほぼプロモーションのミスリードで評価を下げています(観客はテーマを掴めないのもそのせいです)。毎回毎回、どんでん返しスリラー撮ってません(笑)本作も、いつもの東宝東和クオリティが酷い。予告の煽りも要らない。