「ユーモアも忘れないSF超大作」オデッセイ tabletapさんの映画レビュー(感想・評価)
ユーモアも忘れないSF超大作
リドリースコット監督が宇宙を舞台に
映画を作ったらそれはそれはすごいことになるに違いないと思った
予想は全く裏切られなかった
素晴らしい!!!!
主人公マークのキャラクターが大変魅力的
苦境に置かれても憎まれ口、冗談を口にする。
マットデイモンはいい演技をしている。
故に動きのない場面でも心情を考えさせられる。
…ただ終盤、感動的な場面にも関わらず
「インターステラー」がフラッシュバックして、
ヘルメット割れを心配したのは私だけだろうか。
火星探査というSFを扱いながら難しい描写はほとんどなし
頓珍漢で便利なSFアイテムもなくとことんリアリティがある
少なくとも見ている時に「おや?これはおかしいぞ」はなかった
遠心力による人工重力装置を持った宇宙船ヘルメス
近未来的な宇宙船だが、ここで使われている技術は現代技術でも不可能ではないだろう
そこはSF的さじ加減が絶妙だった。
主人公が生き残りを掛けて次々とアイディアを実行していく様
大変爽快であるし、そこのSF考証もおかしなところはなかった
音楽も"ひどい"ディスコミュージックと
宇宙を扱うSFにふさわしい荘厳な音楽、使い分けが絶妙だった。
劇場で効果音を聞くとまさにその場に居合わせているかのような
マニアックとも思える機械音、大変満足できた
宇宙空間で音があったが、あれは許容できる演出の範疇であるし
どこにマイクをつけているかにもよるだろう
本作はリドリースコット作品の血みどろの戦いや大量の死体、
SF装置といった演出はなりを潜め
「生き残る」というドラマを描くことを徹底している。
もちろん映像や宇宙船の造形は素晴らしい
関係者が皆死力を尽くして「彼の帰還」を目指す。
そこにはプロジェクトX的な面白さがあり、
エンディングもよい締めだ。
ぜひ見てほしい。