「クイーン降臨!」ちはやふる 下の句 movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
クイーン降臨!
個人対団体どちらが、純粋なかるたと言えるのか?
を問われる本作。
東京瑞沢を率いるちはやや部長太一とともに、机くん肉まんくん奏ちゃんも力を付けて、全国大会に進めるチームになった2作目。
東京大会を突破すると、競合北央高校のドS須藤清水尋也がなんと、北央を作り上げてきた秘伝の戦略本をちはやに託してくれる。
ちはやは、電話越しにかるたをやめると言った福井にいる新の真意を聞くため、太一と福井へ。
新は、A級に上がれた大会に出た事で留守中にかるた名人祖父を亡くし、深い喪失と悲しみからかるた意欲をなくしていた。
新は心配な状態だが、かるたで強くなって待っていようという太一と、もっともっと強くなるためにクイーンを目指すちはや。
離れていても、太一は流れが悪い時の秘訣を新に聞き、新の祖父譲りの秘訣「立ち上がってかるたが1番楽しかった時のことを思い出す」を教わるなど友情は健在。
後半でも、ちはやもその秘訣を使うが、ちはやが大事な大会で思い出す、かるたが1番楽しかった瞬間は、新・太一・みんな、らしい。
あちゃー、毎日部活で一緒の仲間も、まだ、みんなにくくられてしまうのかーと少し寂しい。
作中みんなもそう感じるようで、新をめぐり、クイーンしか見えなくなっているちはやと、新にちはやを取られそうで調子が狂っている太一を、周りのみんなは1人じゃないんだからもっと頼ってと言ってくれる。
おかげで、チーム感溢れる今作。
頭も俊敏さも耐久力も必要な競技かるた。
進学校だからこその心技体揃ったスピード感ある試合、頭脳ゆえ個人感覚に陥りがちなところが、同レベルの頭脳同士の対戦やチームだと充実感楽しさが満ち溢れて更なる強化になるところなど、見ていて、低次元な人間関係が介入せずとても楽しい。
クイーン連覇の詩暢さんも、ちはやも、ダディベアやスノー丸が好きで、新を好きで、精神年齢とかるたこそ詩暢が上だが、親友同士になれそうな予感。
全国大会は、決勝トーナメント敗退。
個人戦はちはやはクイーンの詩暢に破れるもかるたの楽しさを一層感じる。
結びを見て、この戦績は高2のものだったと理解した。
そういえば下の句の最初で新を訪ねた時既に春だったから、高2の春だったと言うことか。
混乱するほど高校3年間の充実した日々は速い。
どうしても、広瀬すずの輝く躍動感と眩しい表情の側では、上白石萌音の容姿は霞んでしまうが、そこを張り合うつもりなど全くなく、実家呉服屋のパンフにちはやに載ってもらったり、ちはやに美人の無駄遣いなどと言えて、古典を楽しんでいる奏ちゃんを通して、上白石萌音の印象も自然と良くなる。
ちはやと奏も、広瀬すずと上白石萌音も真逆のキャラだが、主人公全開でなく側で支える安心感を与えられるキャラクターの上白石萌音は息が長い俳優さんだろうなと伺える。
別格な佇まいの松岡茉優も関西弁が上手くて、独特なキャラに振り切っていて最高。輪郭の印象が強かったが実は骨格が何で見ても細くて、綺麗。
真剣佑は、高校生の頃こんなにまっすぐな笑みを浮かべる好青年だったのかと俄かに信じがたいが、不敵な笑みで映る写真が多いあの印象は微塵もちはやふるからは感じられず、プロである。
福井弁も上手で、おっとりとすべきことをして邪念のない新は3人から好かれて当然の人物像だ。
なのに、いとも自然に、普通の会話の流れで、
「好きや」?!たった3文字、しかもすき家と同じ音で、
あの天下のすずちゃんが腑抜けになる!
只者でなさすぎるが故の只者でない新役なのだろう。
かるたを通して真剣に生きている彼らは、
天使なんかじゃないのかるた部バージョンに思えた。
詩暢役松岡茉優はマミリン。
無駄美人ちはや役すずちゃんは翠。
肉まんくんは文ちゃん。
新の真剣佑はタキガワマン。
伊織の清原伽耶は志乃。
野村周平だけちびまる子ちゃんの大野くん。
アキラ不在。
アキラは横浜流星以外いない。