劇場公開日 2016年4月29日

「2人の女優に魅せられる」ちはやふる 下の句 みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)

4.52人の女優に魅せられる

2022年7月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

幸せ

上の句の完成度が高かったので、下の句も期待していたが、予想以上の出来栄えの作品だった。

上の句では、恐れ知らずで、無心に競技かるた大会予選を勝ち抜き、見事に全国大会出場を果した主人公達5人だったが、全国大会にクイーンが登場することを知った主人公・千早(広瀬すず)がクイーンを倒すことに夢中になり過ぎ、チームワークが乱れ5人の気持ちがバラバラになってしまう。さらに、競技かるたをすることに迷いが生じ、無心では戦えなくなってしまう。

しかし、一人で問題を抱え込むのではなく、仲間との絆、繋がりの大切さに気付き、全国大会の団体戦とクイーンとの個人戦に挑んでいく。

青春時代に誰でも経験することだが、何をやるにしても、無心で無我夢中でいる時は長くは続かない。迷い、恐れが生じて、心乱れる時が来る。主人公達も同様で、様々な思いに悩み苦しみながら、其々の答えに辿り着いていく過程が丁寧に描写され、青春ど真ん中の主人公達が輝いている。当時の自分のことを思い返して熱いものがこみ上げてくる。

また、個人主義のクイーンと主人公達を対比することで、仲間との絆、繋がりを大切にする主人公達の清々しさが際立っている。特に、クイーンを演じる松岡茉優が、舌打ちをしたくなる程の憎らしさ、神業とも言えるかるた取りテクニックを披露して抜群の存在感を示している。やはり、ライバル、敵役が凄くないと主役は活きてこない。

クライマックスの主人公・千早とクイーンの対決は、そのまま、広瀬すず、松岡茉優という二人の女優の火花散るような激しい演技対決の場になっている。台詞は少ないが、二人の表情に気迫が溢れ、特に、広瀬すずの眼力は圧倒的であり、実際に競技会場にいるような臨場感を生み出している。

起承転結で言うならば、上の句は“起承”、下の句は“転”、製作予定の続編は“結”になる。続編は、主人公達がクイーンの神業に不器用ではあるが泥臭く挑んでいき、素晴らしい“結”となることを楽しみにしたい。

みかずき
CBさんのコメント
2022年7月1日

いいね、ありがとうございました。もう、こうやって「ちはやふる」を語れること自体が、最高!
松岡さん(茉優)、ホント、いい味出してますよね。変な女=松岡さんが名演という時代は、続く。

CB