劇場公開日 2016年9月10日

  • 予告編を見る

「新しい視点で書かれるヴィラン」スーサイド・スクワッド ghost9さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0新しい視点で書かれるヴィラン

2016年9月12日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

興奮

例えば我々の様な治安の良い国の人間から見ればヨハネスベルクやメキシコなどの治安の悪い地域の犯罪者はまるで北斗の拳のモヒカンの様な存在で、家族愛とか正義と言った考えとは無縁の様に思える。
しかし、そういった社会で育ったエアー監督からするとそういう訳でもなく、むしろ善と悪は「たまたまそういう立場だった」程度の曖昧な差異でしかなく、残酷なまでに「家族とそれ以外」を分けているだけでしかない……という考えが実体験として存在している様に思える。

そういった視点で見れば、少なくともハーレイ以外は望んで悪の道に走った訳ではない「たまたま悪だった」人間達であるタスクフォースXのメンバー達が「たまたま政府の犬にされた」というだけの相手に対して仲間意識を持つ事は自然だと思えたし、全体的な流れも(少なくとも私の中では)納得出来た。

こう言った悪人像はクライムサスペンスやピカレスクロマンで使われる事が多いが、ヒーロー映画ではあまり使われなかった(というより避けられた)が、エアー監督はこの悪人像をヒーロー作品に投げたかったのだと思う。
この考えにハマれる人は本作品にハマれるかどうかは境目だと思うが、私はハマれたし、型通りの悪役を描かない姿勢は、DCの魅力の一つである「魅力的な悪」として今後に期待できる一端だと思う。

ghost9