「不気味だった」湯を沸かすほどの熱い愛 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)
不気味だった
家族の中に血縁的に通常の人が誰もいないのだが、強い絆があって勇気付けられる。しかし、それでいいのかなと思うところが多々あった。
中学生の娘が学校でいじめにあって制服を隠されているのだが、母親は負けるなと鼓舞するだけで全く介入しない。たまたま娘が勇敢で自殺しなかったから結果オーライなのだが、だめだと思う。女の子の下着姿もショッキングでつらい。
オダギリジョーの隠し子の9歳の女の子が、お母さんがいなくなって1年くらいしか一緒にいないお父さんだけで、家も変わってしまい、一番つらい状況なのにあまりそこに着目されていない。多くの場合、彼女が一瞬すごくいい子に振舞ってそれから試し行動をすると思う。普通にいい子としてしか描かれていなかった。他の家族にも問題が山積みだから彼女としても自分をだしにくかったのかな。
宮沢りえに同姓で同年代の友達がいない。血縁のない女の子をわが子として養育するような人でもあり、急に人をぶっ叩いたり、大して知りもしないのに「腐った人生」呼ばわりするような人だから仕方が無いのかもしれない。宮沢りえの実親が面会を拒否する以外は、話せば分かる人ばかりの世界だった。
病院の庭でピラミッドで宮沢りえを励ましていたが自分がもしその立場だったらすごく嫌だ。やるのもやられるのも本当に嫌だ。そこに関係の薄い探偵やヒッチハイカーがいるのも、ずっと地元で生活してきたのに悲しい感じがする。
銭湯での葬式は格安葬儀なのかなと思ったが火葬はドン引きで、赤い煙も不気味だった。映画のタイトルロゴが非常におどろおどろしいのがぴったり合っている。ホラー的な不気味さを持つホームドラマだった。