この世界の片隅にのレビュー・感想・評価
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NONちゃん素晴らしい。
やっぱり入り込む演技が上手いんでしょうこの人は。
戦争の悲惨さは勿論のこと、そんな時でも毎日の生活を全うしなくてはいけない人達の強さを垣間見る事が出来ました。
後世に残すべき映画だと思います。
すずちゃんに幸多かれ
広島で三人兄妹の真ん中として育ったすず(声はのん)、18歳で親に言われた通り、呉に嫁に行く。
ぼーっとしているすずは何事もいやな顔もせず、黙々とこなしていた。
時代は昭和19年、戦争はどんどん激しくなり、すずも右手を失う。
嫁ぎ先から生家へ帰ろうとしていたのは8月6日だった。
とても悲しい話なのだが、すずのキャラが絶妙で、肩も凝らずに見ることが出来る。
日本のアニメーションの傑作だと思う。
日常(不変の)
憧れ、夢、希望、恋、結婚、嫁姑、嫉妬、女の子の人生。
不変だよね、今も昔も多分これからも。
のほほんとした夢みがちな少女が結婚して様々な問題に悩み、それでものほほんと生きていく。なんて素敵なんだろう?昔も今も変わらないよくある話。
只、それが昭和20年前後の広島が舞台だってコト
僕達が知っている圧倒的な悲劇が確実に待っている物語だってコト
劇中ですずさんは困る、戦時下の大状況に周りの人たちも困る でも悲壮感はあまり無い「困ったねぇ~」って台詞で日常として昭和20年を生きている
そう、どんな時代だって悲壮感だけで生きている人なんていないんだよ
そこが悲壮感を感動にすり替える有りがちな映画との違い。
それがあたりまえの日常だと信じて生きてるんだから。
それでも数々の圧倒的な悲劇を通り過ぎて、すずさんは初めて感情を吐露する「こんなの納得できん、暴力で従えていたもんは結局暴力に屈するんか」と。
のほほん少女のこの台詞に僕は映画を見ながら初めて狼狽えてしまった。
戦時下っていう暴力的に不条理な大状況が他の暴力によって終わり、すずさんにとっての日常が心と体に傷を残したまま終わってしまう。
これほどのメッセージがあるだろうか?
反戦映画で有りがちな、ここで感動しなさいって押し付けが全く無く
すずさんが初めてみせる怒りが僕の心に突き刺ささる。
こんな体験した映画ははじめてだった。
後日談的に八月六日から暫くたった広島市内で見知らぬ孤児の女の子を拾って、「よう生きとってくれんさったねぇ」と声をかけるすずさんに我慢していた僕の涙腺は崩壊した。
これは残っていく作品だし
必ず残さなきゃいけない作品
すずさんと私
1945年に住んでいるすずさんと2017年に住んでいる私。
少し生まれた時がずれたら、もしかすると私はすずさんになり得たかもしれないし、すずさんは私になりえたかもしれない。そうしたら自然と、映画を見終えた数日後の終戦記念日という日に、すずさんや周作さん、晴美さんの顔が浮かびました。今は亡き祖父母や戦時を生きた知人を思い出しました。電車に乗ってる目の前のおじいちゃんとおばあちゃんの幼き時を想像してしまいました。
そして、当たり前にある右手は、当たり前にある幸せの象徴。仮に見た目では傷を負っていなくても、戦争を生きのびた人は必ず大切な何かを失くしている。
これからもずっと心の中で、戦争で失くした何かを想うかもしれません。だってすずさんは、私かもしれないのだから。
大好きです。
〝感動する〟〝泣ける〟そんな言葉だけで語れる映画ではないと思います。
戦時に生きる人々の日常を淡々と描き、その裏で刻々と悪化する戦況をちらつかせ、観ている観客にはもう嫌でも分かっている、避けられない結末へとカウントダウンしていく残酷さ。ありふれた日常の愛おしさと戦争という非日常の対比。
徐々に困難になってくる日常生活や、繰り返される戦火という理不尽な暴力の中に身を置くと、それに対する疑問や怒りまでも麻痺して戦争というものすら日常になってしまう。生きていくための日々の営みは変わらなくとも、物事の価値観や優先順位は知らないうちに別のものにすり替わっていく。
愛らしい絵でほのぼのと描かれる日常は「戦時中でも小さな幸せを大切にし、笑顔を絶やさず前向きに生活している人達」というよりは、辛い現実の中で「せめて笑おうとしていた」人達の生活だと思う。糸が切れたように突然泣き崩れる登場人物達がそれを物語っているように感じた。
露骨に悲劇的な描写は少ないが、細やかな日常の中にしっかりと悲劇は潜んでいる。
原作を読んだり太平洋戦争史を予習してから観れば劇中に刻まれる日付の意味も深まると思うし、この映画を海外で上映した時の反応も気になる。
個人的にはジブリ作品なんかよりもずっと、後世に遺すべき傑作だと思います。
ある意味で退屈
戦争時代の人々の日常を淡々と描いた作品。といってしまえばそれまでなんですが、この類の映画を私は知らなかった。
観ていてとにかく退屈。何かおきる?何がおきる?とドキドキしていてもずーと何も起きない。
それでも観なきゃ行けない、そう感じさせる何かがある映画。
見どころはラストの20分くらいかな。
それまではずーと前フリという感じ。
一番幸せで一番恐ろしい戦争映画
それこそ小学生の頃からいろいろな戦争ものを観て来たが、このような描写は初だったのでひどく心に刺さった。自分達のちょっと上の世代が実際体験したことで、彼らの生活が今と繋がっているというのがよくわかり、ただひたすら厳格に粛々と戦時中を暮らす…というよりも、現代の人間と当時の人間がまったく同じなのだった。でも考えてみたら当たり前なのだ。兵隊で広島に派遣されていた祖父も、顔が長い教官をガスマスクとあだ名をつけて同期達と陰でいじってからかってたり、今の若者とやることは同じだった。映画では野良猫や野鳥、虫もたくさん登場するが、空襲の時は彼らもやはり慌てふためく。ほんとうにそれが現実なんだよなあと思った。空襲警報がしょっちゅう鳴るから「どうせ今回も大したことないっしょ」とか、家族が亡くなっても意外と飄々としてたりとか、実際もこんな感じだったのだろうと感じたし、今の人間だって戦時下に放り込まれたら必ずこうなるだろう。だから本当にリアル。ゾッとしたのは空襲でアメリカの飛行機達が群れをなして飛んで来るところ。祖父母の生活の追体験をしたみたいで泣きそうになった。こんなにゾッとする描き方をした映像を今まで観た事がなかった。正直最初から最後までずっと涙腺が緩んでいたけど、戦争孤児がすずさんの腕にしがみついてくるところはめっちゃ泣いた。
このアニメはジブリと同じで”狙ってます感”がないので余計にまっすぐ観ることができたと思う。あと、当時の女性は忙しい。男よりも忙しいんじゃないか。現代の女性達が保育園に入れないとか国のバックアップが足りないとかどうとか色々言うけど、どれだけ恵まれてるんだろうと思った。スイッチひとつでたっぷりの白米が炊け、洗濯や脱水までしてくれて、お湯で皿洗いができ、安い金額で服も買える。家事がこんなに簡単にできる幸せをものすごく感じた。丁寧に生きたくなった。すずさんがまだ日が昇らない時間から必死に朝ごはんの支度をする。と同時に、竃の煙が、それぞれの家から昇って来る。それぞれの家にそれぞれの人間の生活があって、それだけでも涙が出るほどとても愛おしい。男はつらいよでも、家族が揃って食卓を囲む姿が本当の人間の生活であるとし、吉本隆明も、普通に生きている人、あるいはそういう生き方を既にやっている人の生き方が、一番価値ある生き方だと言っている。でも本当にそうだなぁと思う。そして自分の命がどれだけすごいことか!祖父は原爆投下時、まさに広島県庁の近くにいた。そんな爆心地に近かったのに、祖父が生きていてくれたおかげで今の私がいるのだ。それなのに私は、社会に対してプンスカ文句を言ったり、恋人が風呂に入らないで寝てしまって汚いだの、早番は眠くてキツいだの、暑いだの寒いだのわめいている。彼らの暮らしを思うとなんてばかばかしい。だけど、やっぱり、そんなばかばかしいことでわめいていられることは幸せなのだ。わめいてもいいんだ。でも意識は必要だ。これからもわめきながら生きるだろうけど、どこかでちゃんと感謝をしながら生きたい。
最後に、この映画が公開される前年に亡くなった祖父に観せてあげたかった。どんな感想を言ってくれただろうか。幸い祖母はまだ生きている。広島での兵隊生活の話を祖父からたっぷり聞かされてきた祖母は何て思うだろうか。祖母は足腰が弱ってしまって映画館には行けない分、早くDVDを一緒に観たい。
もっと早ければ、、
この映画を見るとおばあちゃんに戦時中の話を聞きたくなります。
でもすずさんと同年代の人は既に90歳を越えていて、話を聞くことが叶わない人が多いことでしょう。
この映画がもっと早く作られていたならおばあちゃんの日々の暮らしの話をもっとたくさんの人が聞くことができたなと、残念な気持ちになります。
せめてじぶんのおばあちゃんひいおばあちゃんもあんなだったんだなと想いを巡らすことだけでも、すごく大事な事だと思います。
戦争してても蝉は鳴くしお腹は減る。
激動の時代を日常と共に流される話
この世界の普通のことや辛いことを、面白かったり綺麗だったりする絵に変えてしまう、すずさんの右手。それを、いろいろな物と一緒に失うシーンは辛かった。
作中でお義姉さんが、すずさんは結婚とか生き方を自分で決められずに気の毒だと言っていたが、子供の頃一度出会ったきりの自分を探し出して迎えに来てくれたっていうのは、それ以上に凄いことかもしれない。
激動の時代を、ひたすら日常と共に流されていく話だった。
日常と、戦争
戦争を題材にした映画としては
異質と言えるほどの悲壮感のなさ。
あくまで戦争は時代背景で、
そこに暮らしている人々の日々を描いた本作。
すずさんの日々はとても楽しそうで、
とてもほっこりさせられる。
しかしそんな楽しい日常が、
戦争によって壊される。
配給の減少程度だった戦争の影が
徐々にすずさん達に忍び寄ってくる。
そしてーーー
悲壮感がないといっても、
それは前半までのお話。
やはりこんな時代では幸せなまま
生きていくのは難しい。
幼稚な感想になってしまうが、ただ漠然と
「あぁ、やっぱり戦争ってよくねぇなぁ…」
という気持ちになる。
「火垂るの墓」のように
悲しいばかりではないので、余計に
そう思わされるのかもしれない。
なんでこんなに楽しく過ごしてるのに、
こんな目に遭わなきゃいけないんだろう…
みたいな。
とにかく悲しくてやりきれない。
しかし、本作は希望を残してくれる。
悲しいだけで終わらないのがスゴい所。
だから何回でもすずさんに会いたくなる。
そしてもう一つスゴいのが、
感動が押しつけがましくない所。
だから人によって泣くところも違う。
まさに十人十色の感想を持てるのだ。
最初は能年ちゃんの声に違和感もあったけど、
どんどんすずさんと能年ちゃんがシンクロ
していくのがわかる。
もはや彼女しか考えられないほど。
本作はキャスティングまで素晴らしかった。
評判どおりの傑作映画
とても面白かったです。
評判を聞いてAmazonで視聴。大東亜戦争当時の話ということで悲しい物語と思いきや、終盤を除いてくすくす笑えたりほっこりするような楽しいお話でした。クライマックスのシーンもとにかくお涙頂戴ストーリーやお説教臭い教訓めいたスト―リーにならず、いろいろな出来事を乗り越えて前に進むという力強さを感じられて、今までの戦争映画の常識を変えるエポックメイキングな作品になっていたと思います。
また、日常系アニメのようなのほほんとした空気を持ちながら、日常系アニメほど世界は狭くなく、周りにしっかりとした世界があるリアリティさを感じらました。
そしてなによりも美しい作画と圧巻の背景美術。特に背景はそれだけを映していても見ていられそうな美しさでした。
さらに主演ののん氏の演技と主人公すずのイメージがぴったり合っていて、奇跡的なグッドキャスティングになっていました。
一部、りんさんはどうなったかとか、あの口紅どこからきたのかよくわからなかった部分はあれども、日本アニメ映画の最高傑作と言う人がいるのもわかるとてもいいアニメでした。
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