「生きていく人の怒り」この世界の片隅に 未夕さんの映画レビュー(感想・評価)
生きていく人の怒り
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こうの史代の作品は、悲哀よりもずっと印象的に「怒り」が描かれていると思う。素直で純粋なキャラクターのまっすぐな怒りは、受けとめざるを得ないのに直視できない厳しさがある。
敵国でも原爆でもなく、すずさんは幸せな世界をこんな風にしたすべてを憎み、詰り、泣き、絶望し、それでも生きていくためにまた立ち上がる。真っ当な怒りは生き続けるためのエネルギーだと分かるから、私は彼女の作品にこんなにも惹かれるんだろう。
人さらいを撃退する星空、爆撃される空に走る光の表現は妙にファンタジーチック。恐ろしい現実を受け入れるための脳のまやかしにも思える。
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