劇場公開日 2016年11月12日

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「戦争の悲惨さを違った角度から見せる珍しい映画」この世界の片隅に ▼・ᴥ・▼ Leo★/Rさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0戦争の悲惨さを違った角度から見せる珍しい映画

2020年10月20日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

泣ける

楽しい

幸せ

たまたま録画してて、戦争ものということも知らずに見ました。
中盤までは少女の平凡な日常をただただ見せられている・・という感じで
正直つまらないなぁ・・・て思っていた矢先・・。

■戦争を傍から見ている庶民の日常が視点。
戦争映画ってやっぱり中心人物の話になりがちですが
こちらは庶民の日常を視点にしています。
若い主人公が見知らぬ家に嫁いでハゲができるほどストレスを抱えながら
食糧難、物資不足の㊥、工夫しながら毎日の食事を考えたり
不器用ながらも裁縫がんばったり・・家事を一生懸命こなしています。
すずの日常を見ていると不思議と自分も、その時代に生きている感覚になります。
この日常を永遠と見せられるのかと最初は思っていましたが
これは観客をこの時代にいるように思わせる仕掛けだったのかもしれません。

■可愛らしい絵のタッチとは裏腹に・・・ギャップがあるから突き刺さるのか。
最初はこの可愛らしい絵のタッチにキスとか・・・ちょっと似合わんなぁ。
・・くらいに思いながら見てました。
すると中盤から戦争の悲惨さが随所に出てきて、
可愛い絵なのに残酷なんですよね。
それがなんだか妙に心に突き刺さるんですよ。

■妄想で書いた絵が現実だったのね。
誘拐にあったことを絵で描いてたけど、あれ現実だったのね。
そこで将来の旦那に会うってわけか。
スイカ食べてた座敷わらしの女の子も遊女の美人さんになってるわけね。
フラグ回収もしっかりしてるのも見どころ。

■傘のくだりは隠語。
なんとな~くそうじゃないかな?・・って思ってたけどやっぱりね。
新婚初夜の営みの「合言葉」だったようです。
昔の人のほうが慎ましいというか・・なんというかw

■泣いたところ3つ。
・広島に帰ると言いながら空襲の㊥、夫に守られるシーン
・義理の姉と和解してここに居させて欲しいと言うシーン
・広島に原爆が落ちて母親が亡くなり、
 すずに助けを求める見知らぬ女の子のシーン

特に最後の母親を亡くした見知らぬ女の子のシーンですが、
沢山の人が死んでいるから、それがもう当たり前のようになっているので、
すずも悲観な顔をするわけでもなく普通な顔して
女の子を一緒に連れて帰るところ。
泣かせようとする演出には見えませんでしたが、私は号泣しました。

【火垂るの墓】や【はだしのゲン】などの、戦争や原爆の悲惨を
正面から描いた作品と違い戦争に巻き込まれていった呉の市民の生活から
戦争を描いている作品で見せ方が新しい・・というか、
こういう映画珍しいなぁ・・って思います。
戦時中の中にも笑顔はあるし、悲しみもあるけれど
さほど重くない内容に仕上げています。
もし自分たちの日常に戦争が現れたら、こうなるのかもしれないと
リアルに考えさせられる映画でした。
今の平和があることに感謝しようと心から思いました。

Leo★/R