劇場公開日 2016年11月12日

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「戦争の時代、つつましくけなげに生きる庶民の日常をつづる 淡く切なくやさしい作品」この世界の片隅に mary.poppinsさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0戦争の時代、つつましくけなげに生きる庶民の日常をつづる 淡く切なくやさしい作品

2020年8月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館、TV地上波

戦争の時代、兵士ではない一人の ちょっとドジな?若いお嫁さんの、ふつうの日常を 淡々と綴った映画。恐ろしい戦争がしのびよる中でも、けなげにたくましく、笑顔を失わずに生きようとする庶民の姿が丁寧に描かれます。忙しく働く中で、ささやかなお絵描きが趣味の彼女の目を通して、アニメや漫画でしか表現できない方法で、しかし実写作品と対等の強い力をもって胸に迫りくる場面も何度かあります。つないでいた手が、一瞬にして…。世界は変わってしまい…。
「悲しくてやりきれない」のほんわかとした歌声につつまれた時、涙があふれました。

このような作品が、クラウドファンディングという形で、多くの人に応援されて作られ、そして国内にとどまらず海外でも高い評価を受けたということは、なかなか世の中はすてたもんじゃないな という気分にもなれました。

「令和元年」の祝日に 映画館で見ました。
世間やTwitterが「令和ってネーミング カッコイイ」と浮き立つ声が多い中、私はなんとなく、
令って命令の令だし、万葉集の歌からというのは隠れ蓑で、
今後 色々な命令を国民に出していく前に「令」の文字に慣れさせていいイメージもたせようとしてるんじゃ? 安倍総理は憲法9条を変えようとしている人だから…。
なんて、ちょっと怖さを感じていました。
そんなモヤモヤをちょっとかかえて、祝う気分など無かったので、(でも休日はそれなりに楽しみたいので)
日本の昭和、平成、令和…と歴史をふりかえり想いをはせるのにぴったりかな?と
この映画を見に行きました。もう数年前の映画ですが、調べると、なんと数年間の間 毎日この映画をかけている映画館があると知ったのです。
茨城県の土浦市にある、セントラルシネマという、さびれた小さな映画館でした。まるで日本のリアル・ニューシネマパラダイスのような、古い映画館で、「え ここで合ってる?入口ここ?」と戸惑うほどでしたが、中に入ると、にこやかで親切なスタッフが迎えてくれて、ロビーにはたーーくさんの 作者イラストサイン色紙や、この映画について掲載された新聞記事などが飾られ、この映画への愛があふれる、まさにファンの聖地になっていました。
TV放送を見て感動した人は、大画面で見に、ぜひ行ってみるといいですよ。

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