「噛み締める幸福感と喪失感からくる悲しみ」この世界の片隅に ウィーザーさんの映画レビュー(感想・評価)
噛み締める幸福感と喪失感からくる悲しみ
人類最大の業という現実を殊更破滅的に悲劇的に描きもせず、かといって楽観的過ぎに描きもせず、すずという一人の自立しきっていないごくありふれた少女を通して映し出すことで、戦争という出来事への距離感を近すぎず遠すぎずに押し付けがましい説教的な戦争論では無い形で描いている。
このように適度に迫りくる距離感で戦争を描く事で一番のテーマである「日常にこそにある美しさ、この世界の片隅に生きていく美しさ」をより際立たせている。
これによりすずという人間がこれからも生きていくという希望に満ちた幸福感とその反対に現代と重ね合わせた時に感じる喪失感からくる悲しみを感じる。
「生きていく」その当たり前のことを忘れてしまった現代社会のへのアンチテーゼにも思える。
政治的、左翼的イデオロギーの匂いの無い理由は、戦争はそれをより際立たせる道具で、あくまでもテーマが人間讃歌であり、ただ生きていくという事の偉大さの主張であるからだ。だからこそ生きていかねばならない我々に突き刺さる物がある。
戦争映画では決して無い、人間映画。マスターピース。
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ヒロさんのコメント
2019年7月16日
テーマ性を読み取れず大変失礼致しました。私のコメントで不快にさせてしまい大変申し訳ございません。稚拙な文にコメント頂きありがとうございました、恥ずかしながら私、読解力が無くこの作品が分からず解説頂けないでしょうか?拝読させて頂きますのでよろしくお願いします。