「ようやく、観た。」この世界の片隅に CBさんの映画レビュー(感想・評価)
ようやく、観た。
ようやく、観た。
すごい。
未だに公開劇場がなくならないわけが少しわかった。全員が見終わるまで、かけ続けてほしい。
戦争が始まりそうな頃、少し抜けた普通の少女が、隣の呉市に嫁に行った2年間が中心。その生活を、ユーモアまじりに、「サザエさん」のように描き続ける。主人公があまりにも普通で純粋なので、対比によって、戦争になだれ込む周囲の環境の激変が際立つ。戦時中の疑似体験として、最高峰ではないか。戦争を生きた人たちの多くは、こんな感じで戦時中に放り込まれていったのではないだろうか。
それを体験しようと観に来た訳ではないのに、それを体験するという凄さ。こういう作品が、戦争を風化させない映画なのだと思う。暮らしている中での戦争は、誰かがゴングを鳴らし誰もが始まったと理解するのでなく、日々の暮らしの中にじわじわと侵食してきて、ある日初めてその悲劇に気づくのだ、と。
戦争というシチュエーションを「使う」映画はあまたあるが、ほんとうに「伝える」だけの映画、それでいて誰でも興味をもてる映画という点が凄さだと感じた
自分が最も衝撃的に感じたことを書いてみよう。
-------この後の部分には、ネタバレが含まれます。まだ観ていない方は、先に映画を観ることをお薦めします。-------
主人公は、一所懸命ではあるがほのぼのと(まるで漫画「ぼのぼの」の主人公のように)毎日を生きている。主人公の物事への対処の仕方は少しも変わらないのだが、周囲で起きていることは毎日少しずつ変わっていく。そんなある日、爆弾にあって、姪と右腕を失う… その悲劇の瞬間は、(これまで自分が頭の中で勝手に思い込んでいたように) 日常と切り離されているものではなかった。「歩いていて、ふと右を見たら犬がいた」とまったく同じ感じで、ふと右を見たら、姪も右腕もこの世からなくなってしまうのだ。
俺達は「当時の国民は、なぜ戦争に反対しなかったのか? 国民からして、勝利に浮かれてたんじゃないのか!」と、簡単に糾弾する。しかし、この映画を観ていると、そう簡単ではないのかもな、と思う。頭で考えるほど、日常と戦争の間には "線" が引かれているわけではないのかもしれない。
硬いことばかり書いたが、本作は、ほんとうに楽しめる映画。楽しめるという言い方は、気が引ける気もするが、逆に楽しめるという点が一番重要な気もするのであえてこう言います。
のんの声は、ぴったりだった。この主人公の声優に関しては、天職だったね。
2023/5/9 とみいじょんさんコメントに触発され追記。
戦争の恐ろしさ。それは、日常が戦地だということに、あっという間に傷つき、大切な人を亡くして、初めて気づくという怖さなのだと感じました。それをこんな風に実感させてくれたこの映画に感謝です。楽しく、美しく、そして限りなく怖かった。
共感とコメントありがとうございました。
この映画、自分のレビューを投稿した後に皆さんのレビューを読ませせてもらいましたが、多すぎて読み切れません。しかも1000以上のレビューで500以上が★5という評価!必ず、日本映画史の殿堂入りする作品だと思います。
共感ボタンは、★5で、特に良かった数名の方だけに押させてもらいました。
CBさんこんばんは
日本中にいたたくさんの「すずさん」のように、庶民がそのままの平凡な人生を全うしなくてはいけないんだと、強く思ったのです。
政治とか関心がない人たちも誰からも責められることなく平和に生きていけるべきなんですよね。
コメント並びに、貴レビューへの追記、ありがとうございます。
CBさんのレビューにもある通り、疑似体験させられる映画ですね。
本当に、楽しく、ほんわかさせてくれて、日常を好きになる、それゆえ突き落とされる恐怖。
怖いのに、何度もリピートしたくなる愛おしさにあふれた映画ですね。
CBさん、コメントありがとうございます😊
他作品のレビューまで読んで頂きありがとうございます😭
これからもロックンロールなレビューを書いていけるよう、精進します!
お褒めの言葉ありがとうございます!
いつもは笑わせようとふざけた事を書くのですが、たまに書けないことがあるのです・・・
今週中に(さらにいくつもの)片隅を観に行くためにTVで再見し、違いを見極めようと思いました。