「暖かで現実的な戦時の作品」この世界の片隅に ナンドさんの映画レビュー(感想・評価)
暖かで現実的な戦時の作品
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原作のファンで、映画を観に行きました。
時間や予算の関係で、いくつかのシーン(お寺のお悩み相談のところが好きでした)が無い形になっていますが、原作の雰囲気、色彩とアニメーションの動き、声優さん達の演技、どれをとても大変な作品になっています。
漫画の映像化として、一本の映画としてとっても素晴らしいです。
一ファンとして、見に行って心から満足しました。
このお話は、かいつまんだ粗筋だけを辿ると非常に深刻で何とも言えないほどです。
姪を失い、大好きな絵を描く右手を失い、実家とその両親を失い、そして仲の良い妹も恐らくは失われようとしていく。
生まれた街、育った国、嫁いだ先の環境と人々、色々な周囲が絶え間なく変容し、それでも先へと生活は続いていかざるを得ない。
しかし、主人公を始めとするキャラクターと多くの日常表現、人の心の奥で抱えた感情描写が、いわゆる戦争映画に描かれがちであった悲惨さとは明らかに違った雰囲気をこの作品にかもし出しています。
これだけ残酷な話の流れをそこまでと感じさせない作品の力というのは、凄いものだと思います。
勿論、それによってテーマやメッセージが伝わらないのかと言えばそうでなく、むしろありありと伝わってきました。
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