「かなりいいです。」この世界の片隅に akkie246さんの映画レビュー(感想・評価)
かなりいいです。
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実在した世界だし、リアリティがあった。私の祖母くらいの世代の主人公が、まるで平成の世の女の子のような雰囲気をまといつつ、しっかりあの昭和の時代に生きている。
戦争が進むにつれて、出征があり、食べるものがなくなりといった展開がわずか数分のうちに起こる。
すずは、その設定上、多くのものは望まない。そして、同級生、家族、身体の一部、唯一の趣味、そして故郷を喪う。アニメでありながらこれだけ喪失する物語は珍しいのではないか。いや、最近のはなんでもあるのだろうか。それでも描写は丁寧かつ上品で、新しいジャンルの誕生を感じさせる。
「君の名は」が到達した表現力、エンターテイメント性には及ばないものの、製作者のある想いを丁寧に丁寧に伝えてゆく作りは好感が持てる。
このスタッフの作品をもっと見てみたいという思いでいっぱいになります。この監督のこだわりをもっとたくさん見ていたい。
戦後72年のいまでありながら、当時生きた人々の思いが蘇る。
原爆のシーンには、時が止まった気がした。
戦時とはいうものの、ああいう日常の一瞬に大量の人々の命を一瞬で奪い、または長く苦しめることになる兵器が使われたのだという説得力があった。
能年玲奈だからこそだせるすずのキャラクターにこの作品の成功を感じた。
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