劇場公開日 2016年11月12日

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「苦しみながら鑑賞」この世界の片隅に Rinさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5苦しみながら鑑賞

2017年3月1日
iPhoneアプリから投稿

たくさん苦しんで、涙して、それでも人は生きていく。
たくさん笑って、冗談言って、それでも人は死んでいく。

主人公やその旦那さんが亡くなるとかの方が物語としてよっぽどストレート。でもこれはそうじゃない。
本当に上手に人の希望を奪っていく。
こうのさんの別作『夕凪の街』を知っていたので、この人の展開のうまさは覚悟してたつもりでしたが、こうも柔らかなタッチと空気感の中に絶望を盛り込める作家さんもそう多くはないでしょう。

個人的に、広島に住んでたことがあり江波も呉も馴染みがあったし、方言に慣れていたのもあって、すごく身近に感じで苦しい気持ちでいっぱいになりました。
特に妹のシーンは苦しかった。。
あの腕、あのアザ。。
嫁いでからよく働いて小麦色になってたすずの肌が、右手事件以降どんどん白くなって、逆に義姉がどんどん焼けてって、だけどそんなすずよりすみちゃんの腕の方が白かった。

Rin
Rinさんのコメント
2017年3月13日

コメントありがとうございます。
「腕がこんなんなったんよ、これ治るかなぁ?」
「治るよ。だって、治らないとおかしいよ。」
というやりとりだったと思います。
原爆の影響ですからね、あの痣は。どんどん広がるし、治らないし、もうすみちゃんは海苔は手伝えないし、それどころか立てなくなってしまう…などなど容易に想像できる遠くない未来像を思うとものすごく悲しくなります。
治らないとおかしいよ。
当時の人はそう思っていたのでしょうね。戦争は終わっても、原爆はなくなっても、その影響はそれからずっと続いていくという余韻を残す、とても印象的な場面でした。

Rin
しっぽをたてろさんのコメント
2017年3月12日

あざを見せる画面にかぶさる「大丈夫だよ」という
何でもない言葉が沁みました。
肌の色を確認するため、また劇場に行かなくてはなりませぬ。
ご指摘ありがとうございます。

しっぽをたてろ