「豊かになった(はずの)時代を生きている自分の人間としての強さと美しさを、すずさんと比較した。」この世界の片隅に みふゆさんの映画レビュー(感想・評価)
豊かになった(はずの)時代を生きている自分の人間としての強さと美しさを、すずさんと比較した。
知らない家の嫁にもらわれる。
突然、空襲警報が鳴り響く。
ある日、配給が止まる。
彼が戻ってくる日はわからない。
それはどれも自分では決められないこと。
自分の力ではどうすることもできないこと。
そんな不条理や不都合だらけの時代の中で、不格好に生活をつづけるすずさん。ただただ、淡々と、生活をつづける。
回転の速くない頭で情報を覚えることに努める。限られた資源の中で生きる工夫を続ける。少ない人との繋がりを大切にする。そんなすずさんが徐々に気になる私。
生まれつきボーッとしている性格のせいなのかな。それとも絵を通して世界が見えていたからなのかな。理由は何にしろ、すずさんは強く真っ直ぐ生きている。その姿が美しくて、すずさんがもっと好きになる私。
だから、すずさんが悲しむたびに、その身体が傷つくたびに、私の胸は締めつけられた。賢い人間たちを憎んだ。
豊かになった(はずの)時代を生きている自分の人間としての強さと美しさを、すずさんと比較した。どうして、いつまで、私は不満足なんだろう。
みふゆ
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