劇場公開日 2016年11月12日

  • 予告編を見る

「予想を遥かに上回った」この世界の片隅に とりさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0予想を遥かに上回った

2016年11月14日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

悲しい

最初にこの映画を知ったときは自分の苦手な戦争映画なのかな?と、のんさんがすず役に決まったときは声優向きじゃないだろうと思いあまり期待していませんでした。クラウドファンディングも勿体無いことになるのでは?と。
しかし、予告編を観て、いい評判を聞き観てみると涙が止まりませんでした。劇場で映画を観てこんなに泣いたのは10年ぶりぐらいです。文句無しの☆5つです。
戦争で苦しい生活をする中でほのぼのするような、クスッと笑ってしまうような場面が所々にあり、戦争の悲惨さよりもその中で懸命に前向きに生きる人を描いていて観やすく、無理矢理感動させて泣かせるような演出もそんなに無かったように思えて純粋に楽しめました。悲しい場面もありますが悲しいだけじゃありませんでした。のんさんの声もやはり最初は違和感はありましたがすずさんのキャラにとても合っていて良かったです。
また、街の風景を細かく描いている所、ある場面の現実の風景をすずさんの趣味の絵のよう描いていた所も良かったです。リアルに描くところとそうでないところのバランスというか使い分けが上手いと思いました。一般的なアニメの絵とも「君の名は。」のような写真のような背景とも違うこの作品に合った絵でした。
音楽も戦争ものにしては悲愴感ただよう感じになりすぎておらず、すずさんの心情に寄り添っているように感じました。「君の名は。」みたいにヴォーカル曲が4曲ほど劇中にあったのですが「君の名は。」よりすんなり物語に入っていけました(比較するのもおかしいかもしれませんが)。もちろん普通の曲も良いのですが。
少し気になったのがこの人誰?という人が途中で少し出てくる所。まあ、原作のある話なのでしょうがないとは思いますし、そこまで深く大筋に関わる訳ではないので作品の評価に影響しませんが。
上映館が少ないのが残念です。ロングヒットして上映館が増えて沢山の人に観てもらいたいです。そう思える素敵な映画でした。

とり