「泣くつもりが」この世界の片隅に kamadaysさんの映画レビュー(感想・評価)
泣くつもりが
きっと映画を見ながら泣くのかなと、上映前は思っていました。感傷的で叙情的な物語だと決めつけていたのかもしれません。
事前の予想は間違ってはいなかったけれど、上映中は泣くことはできませんでした。
劇中の時間の経過とともに、胸が痛く、切なくなり、辛くて怖くて震えるようにして映像に釘付けになっていたからです。
この世界の片隅に、というタイトル通り、今この現代の世界中のどこかで同じ物語が日々繰り返されているはずです。
私たちの日常の平坦な暮らしが、いかに幸せで貴重なのかを思い知らされます。
人間は失って初めて、無くしてしまったもののかけがえのなさを知る、小さな存在だと思い知りました。
今この文章を書いている私にでさえ、たぶん、幸せを身に沁みては分からない。
上映中は泣けませんでしたが、エンドロールが終わり、場内が明るくなり、立ち上がろとしたとき、不意に涙がこぼれ落ちてきました。
この映画に出会うことができ本当に幸せです。
ただ、上映館が少なすぎる。これだけが残念です。
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