「アニメで味わう「しあはせの手紙」」この世界の片隅に だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
アニメで味わう「しあはせの手紙」
原作既読でめちゃくちゃ原作を愛している人であり、
ゲーノーカイの掟によって辛酸をなめているであろうのんちゃんを
(生きてるけど)草葉の陰からこっそり応援する人である、わたくし。
公開初日に一般料金1800円を払って観て参りました「この世界の片隅に」。
とってもよかったです。
漫画では、消えてしまったすずの右手が語る物語があるのですが、
その語りがコトリンゴの歌の歌詞に混ぜ込まれていて、感激しました。
その言葉は聞き取れたり聞き取れなかったりする、ささやかな音量で、
その配分はわざとよなーと思っていました。
のんちゃんの声はすごく個性的なので、それが美点でもあるのですが、
どこにいても聞き分けられる声ですから、のんちゃん自身が浮かんで離れないとか
ないかしらん、合うのかしらどうなのかしらと思っていましたが、杞憂です。
すずとして、生きていました。
原作を読みまくっているのですが、漫画はわりと飛ばし読みしてしまうので、
端々まできっちり読み込めてないことが多くて、
タンポポが白いとか、そんなせりふあったっけとか思いましたが、
帰って漫画を見てみると、ちゃんと書いてあるがな…と自分にがっかりしました。
りんさんの話が殆ど無いな(周作さんはりんさんにほれてたんですよ…)という点に、
ちょっとだけ残念に思っていましたが、でもエンドロール後の右手が描く紅の絵で、
りんさんが描かれていたので、まあ許そうという気分。でも、遊郭に遊びに行ったり、
木登りしたりが無くて残念だなー、という事で、マイナス0.5です。
あらすじは既に知っていますから、新鮮な感動とはいきませんが、
それでもB29の大群が飛ぶ空の恐ろしさ、爆弾が街や家屋に突き刺さる
描写に戦きました。はるみさんをなくしたお姉さんが、すずをなじるところや、
その振る舞いをのちに謝るところなど、原作でも心が震えた部分で改めて
ぐらぐらと心が震えました。
おねえさんが私には泣きのツボなんですよ・・・
あとは、すずと周作がドブでけんかしながら抱き合うところね。
なんとも言えないエロスを見出し、にやにやします。
防空壕でのちゅーもいいですが…
漫画の最終回の「しあはせの手紙」が大好きで、
「今これを読んだあなたは死にます(表記は原文と異なります)」
から始まる2ページにいつも、打ちのめされるような救われるような悲しいような幸せなような気持ちになるのです。どうしていいかわからず泣くしかないのです。
その気持ちを映画でも感じられて、本当に嬉しかったです。