「ホグワーツ卒が社会に出た姿。」ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅 movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
ホグワーツ卒が社会に出た姿。
黒い魔法使いは公開当時に友達の希望で見て、面白かっただけに、前作のこちらが微妙なのは意外だった。
ニュートスキャマンダーが後に仕上げる著書が、後にハーマイオニーの動物保護にもしも繋がっているとかならば、先にそれを作中で話した方がハリポタファンをぐっと引き込めた気がする。
魔法界が同じだけで、時代も異なる別物語。
主人公のニュートスキャマンダーはおどおどしているようにも見えるが、心優しく魔法動物の習性を深く理解して保護に努める青年。
ニューヨークで魔女を撲滅しようとする救世軍女性の養子として育ち、魔女の実母を貶され、魔力を封印され、虐待されて育ったクリーデンスもまた、ニュート同様社交的な性格ではないのだが、内なる闇を抱えてしまっているクリーデンスは、感情コントロールがきかなくやると、オブスキュラスという黒い煙のような強力なモヤモヤを街中に暴走させてしまう。
ニューヨークの街は連日オブスキュラスにより突然街がぐちゃぐちゃになり被害者も多数出ているが、ノンマジ(イギリスで言うマグル)は理由がわからず、世間は魔女狩り一直線。
魔法使い達は迫害を恐れて身を隠し、密かに暮らす毎日。
そこに魔法動物を連れてイギリスからやってきてしまったニュートスキャマンダーは、巨大鳥をアリゾナに連れて行き還すことと、なにかの魔法動物をブリーダーから持ち帰る事が目的だったようだが、連れてきた魔法動物は逃げ出すし、逃げた動物達を捕まえようとするとノンマジに危害があったり建物を壊したりで、すごい。
ニュートスキャマンダーの人格は優しいのだが、後先あまり考えず、動物のために社会的NGな事態を色々しでかしても、そこに反省やまずいことになったという意識は皆無のようだ。周りからどう見られるかと言う視点が欠如した、純粋な性格。
クリーデンスのオブスキュラスによる被害をニュートが逃した動物のせいではないかと疑われ、巻き込まれていくニュート。
既にニュートもノンマジまで巻き込んでいるのだが。
魔法省のポーペンティナゴールドスタインという、ヒロインにあたるアメリカ人魔法使い女性も、超ずさん。
捕まえたニュートを家に連れて帰るわ、別案件のクリーデンスについてペラペラ喋るわ。
クリーデンスがオブスキュラスを作り出していたとわかるのは後半。途中までは、オブスキュラスを作り出す子供は10歳まで生きられないのが過去例のため、オブスキュラスを作り出しているであろう小さな子を探し出すよう、クリーデンスはそそのかされている。
その、そそのかしている男こそ、グリンデルバルドという指名手配犯の闇魔法使いが化けていたグレイバスだった。
そして、そそのかされていたクリーデンスこそが、心の中の闇を制御しきれず、オブスキュラスを生み出して暴れさせてしまっていた張本人だった。
10歳はとうに超えて高校生くらいの新しい例。
アメリカ魔法省のポーペンティナ上司にあたる人間達がクリーデンスのオブスキュラスを破壊し、クリーデンスは消されてしまい(多分生きてる)、グリンデルバルドは捕まった。
関わってしまったマグル達は多すぎて、通常通りオブリビエイトで記憶を抹消しきれないため、アリゾナまで連れて行くはずだった巨大鳥をニューヨークでニュートが放ち、その巨大鳥に忘却薬を雷まで運んで貰い雨として降らせて、マグルの記憶抹消を行った。
ポーペンティナとニュートは良い雰囲気になったが、ニュートはイギリスに戻るためお別れ。
ニュートに巻き込まれたノンマジのワコルスキーとポーペンティナの妹も、良い雰囲気になったが忘却薬で一度忘れたワコルスキーのもとを再び妹が訪れる。
と言う結末なのだが、そこに至るまで出てくる魔法動物達に、魔法省は危険と判断していたが、マグルの記憶抹消に使った途端に、ニュートはお咎めなしで放免され、魔法動物に理解が足りなくてごめんなさいねの空気になる。ご都合主義すぎないか?
いやいや悪気なく、めちゃめちゃ破壊する魔法動物達。
動物は好きだが、人間と生息域を決して交えてはいけないだろう。いい加減な作りのトランクを変えないと、また出てくるよ?と思ってしまう。
魔法動物達がCGのため、感情移入しにくいし、空間に合わせて大きさを変えてしまう、身体が蛇で頭が鳥の生き物について、前半で何度も出てきても、そんな習性は全く説明されていなかった。
ニュートさん、説明不足で周りを危険に晒すのは控えて欲しいです。
動物を捕まえるため、ゴキブリを捕まえてティーポットに投げ入れるなんて、非現実的すぎるでしょうよ。
たぶん、
「子供を温かく育てないと。子供を抑制してしまうと、子供でも内に闇を秘めてしまったら大人を、社会を脅かしてしまうんだぞ。」
と警告をされていると思うのだが、闇の魔法に堕ちずとも、ホグワーツ卒でかなり蹴散らかすニュートもハリー達同様、目的は良いのだが社会ルールを無視してしまい理解されにくいタイプなようで、割とお困りもの。
小さいけど、二フラーも絶対あかん。
習性でも、連れてる限り誤解しか生まん。
魔法使い側に「頼れる大人」な印象の登場人物はハリーポッターシリーズ含め今作でもあまり出てこず、
ノンマジのジェイコブスワコルスキーの人柄が目立つ。
たとえ缶詰工場勤務でパン屋さん開業資金が出征期間が長くて準備できなくとも、どれだけ巻き込まれても受け入れて力を貸そうとする良い人。
多分いつも「良い人」で終わってしまうと思うのだが、ポーペンティナの妹の、心が読める美人魔法使いクイニーが好いてくれて、良かったね。
ポーペンティナは、なんとなく松本若菜。
クイニーは、キャメロンディアス系。
アメリカ人はポーペンティナタイプより、こういうのが好きでしょ?とイギリス人は思っているのかな?