彼女はパートタイムトラベラーのレビュー・感想・評価
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爽やかな映画
シアトルの出版社でインターンとして働きはじめたダリアス(オーブリー・プラザ)。父親からも「暗い」などと言われるほど、取り柄もなく彼氏もいない。先輩記者であるジェフが「過去への旅の同行者を求む」という新聞広告記事を見つけて、その依頼主を調べてみる企画を提案し、ダリアスともう一人のインターン、アーナウとともにワシントン州へ向かう。 緩めのロードムービーなんだろうな~と軽く見ていたら、なんだか徐々に謎めいた方向に進み、ジェフも高校時代の元カノに会いたいだけのおっさんになってくるし、どんな着地点になるんだ?と物語に引きずり込まれる。 妄想の量子力学、オタク、変態・・・それだろ!と誰しもが感じる。依頼主のケネス・キャロウェイという人物の印象は周りの人間からもそう思われてるのです。2001年に戻りたいのは、好きだったベリンダという女性が事故のため・・・などと、誰もが過去に戻ってやり直したいことがあるんだし、共感してしまったダリアスが好意を持つほどになる。決め手は音楽♪ギターじゃなくジターという楽器で弾き語りする様子はとても魅力的だった。 「何者かに追われてる!」というのは妄想じゃなかったこともわかるし、実はブレンダは・・・という展開も見事。タイム・トラベルはどうなった?などはどうでもよくなるストーリー。やたらとスターウォーズネタが出てくるけど、そんなに重要じゃない。しつこいだけ。
野心ある小品
囲み目メイクでないとオーブリープラザにならない。 メイクのことは詳しくないが、ナチュラルな今っぽい囲みでなく、昔の(なのかどうか知らないが)ガッツリの囲みがきまる。 この囲みメイクとオーブリープラザはセットであり、必然的に、役は広くないが、価値は高く、需要もとぎれない。 はっきりした眉、大きな瞳、凸のあるツン鼻、ぷっくりの豊頬と唇。笑うとあどけないのに、上目にすると妖しい。アンニュイもある。それらが囲んでないと一挙にアイデンティティを失う。 囲んでなんぼのオーブリープラザ、と言えるが、囲み目のきまりっぷりは異常。ハッとする美人になる。 分解すると、囲みメイクがきまるのは、徹底的な下三白眼だから──だと思われる。 伏し目でも三白が崩れない。 白目の面積が広大で角膜を動かすたびにギロっとなる。 たとえば遠藤憲一なんかだとギョロだが、こっちはギロ。そのギロに妖しい収攬があり、見つめられたらNOと言えない。目力を眺めているだけで飽きない。 それは制約にもなり、シリアス系への出演はなく、ラブコメやホラーの現代劇がメインだが、出演は目白押し。つまり制約よりも囲み目に需要がある。とみていい。 どの映画でも見事に囲み目。トレードマークとして認知されているなら怖いものはない。 もとはコメディアン。 クリスティンウィグ、サラシルバーマン、エイミーシューマー、メリッサマッカーシーらと同類の経路でハリウッドへたどり着いた。 この路線は順調なキャリアを築くひとが多い。 お客を前にしてしゃべることが、芸能の基調なのは日本も同じである。 お笑い芸人はどの世界でも強い。 演技は達者ではないがシチュエーションのなかで絵になってしまう。美人だが美人扱いされない役回りが似合い、ディスり合いで魅力を発揮。スタイルは確立されている。 予算と肩の力を抜いたコメディだが、ばかばかしさのなかに見捨てることのできない愛らしさとペーソスがある。 恋愛にタイムマシンを絡めSFを消化している。いい脚本。 個人的には感動した。 Paddletonの才人Mark Duplassが、映画に適切なユルさを与している。イケメンだったら凡打だったと思う。
やんわり時間は流れるのである
コリン・トレボロウは「ジュラシック・ワールド」の監督。この映画が彼の初長編監督作品で、この後すぐ「ジュラシック・ワールド」の監督に抜擢されたんだから、ハリウッド映画界というのはよく分からない。 シアトルの雑誌でインターンをしているダリアス。記事として「一緒にタイムとラベルをしてくれる人募集」というクラシファイド広告の真相を突き止めて書く為に、先輩記者ジェフと同じくインターンのアーナウの3人で掲載者が住む田舎町へ行く。ダリアスは徐々に広告掲載者ケネスに近づき、タイムトラベルの為のノウハウや訓練を受けることになる…。 登場人物それぞれに、人生の途中の課題らしきものがあり、この田舎町に居る間にそれが明るみになり何らかの形で昇華されていく。上手く書けた脚本で、可愛く仕上がっている。終わり方が途中で見えてくるが、個性豊かな登場人物のお陰で、それも大して気にならない。 私は気がつけば歳を取っていたというジェフの気持ちがよーく分かったし、戻れない時間の意味だとか、だから今の時間があるんだとか、そういうテーマがすーっと根底に流れているような気がする。ただ、タイムトラベルマシンは存在するのかという派手なミステリー要素と、日々の何てことない日常を同時に進行で描くので、インパクトがどちらにしても欠けてしまった感はある。
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