劇場公開日 2015年10月24日

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「当たり前だけど、やっぱりお坊さんも人間なんだなぁ」ボクは坊さん。 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0当たり前だけど、やっぱりお坊さんも人間なんだなぁ

2017年5月8日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

知的

内容そのものはやや薄味だった印象で、正直予想したほど心動かされた訳ではなかったですが、まあお坊さんの生態や、住職の仕事ハウツー的な部分での面白みは十分感じれた作品でしたかね。
そしてお坊さんも普通の人間、日々成長してお坊さんになっていくんだなと、そんなことも何気に実感させられた作品でした。
日本にはこれだけ多くの寺がありますから、それは全員が全員完璧な人間が揃っている訳ではないのも当然のことでしょう、どうしてもお坊さんは別の世界の人間と言う意識が強くて、今まで全く親しみは湧かない存在でしたが、この映画を見ていたら何だか少し親しみが湧いてきたような、そんな気分にさせられた作品でしたよ。

まあ当たり前のことではあるのですが、結局お坊さんって普通に「職業」の一つなんですよね。
私は初めて知りましたが、それ専門の大学があって、そこで学んだ経験を活かしお坊さんになる者もいれば、ならないで普通の会社員になる人もいる、ホント我々一般人と何ら変わらない一人の人間なんだなと、しみじみ・・・。
日々悩みながら、様々な人と関わることによって成長していく姿は、共感できる部分も多くて、その部分では十分面白みを感じれる作品でしたし、近代的なお坊さん専用グッズで生活しているところなんかは意外性があってなかなか面白かったです。

ただ、基本実話ベースなのでしょうが、幼馴染絡みのドラマ部分が、オリジナルなのか本当の話なのか脚色したのか詳しことはよく知りませんが、どうにも安っぽいと言うかいかにも感が強くて、ちょっと冷めた部分があったかな。
山本美月が演じた幼馴染の話があって更に住職が成長したことを考えれば、必要なエピソードではあったのでしょうが、溝端淳平もそうですが幼馴染同士の強固な絆みたいなものは全く感じとれず、作品でそこだけ浮いていた感は否めなかったですね。
むしろ濱田岳等の学生時代の仲間の方が、より繋がりを感じれたかも。
とは言え、単純に山本美月は可愛かったので、もし登場しなかったら地味過ぎて画的に厳しかったのもまた事実ではあるのですが。

一方、ややぎこちないドラマ部分をしっかり締めてくれたのは檀家の長老を演じたイッセー尾形だったでしょうか、さすがの存在感でした、こんな一見厳しくも陰では温かく見守ってくれるような存在が、地域には絶対必要だったりしますよね。
勿論、主役の伊藤淳史も日々成長する新米住職役にピタリ嵌っていた印象で、おかげで物凄くお坊さんと言う存在に親近感が湧きました。
話的にはやや中途半端だった印象は否めずも、程好く笑えて程好く心も温まって、まずまずは楽しめた映画でしたかね。

スペランカー